2日目に取り上げた守沢太志は、宮本隼輔の3番手を嵯峨昇喜郎に取らせて、直線伸びて3着に入った。「宮本とやり合って9着になるより、今は少しでもいい着を取らせて、自信をつけさせた方がいいかなと思いました」と後輩を思いやった。嵯峨君、今度は守沢とワンツーを決められるようにね。

今日は10Rの高橋晋也を取り上げる。今はナショナルチームBに所属し、最先端のトレーニング理論のもと練習している。その成果もあると思うが、レース運びも確実にうまくなっている印象だ。

準決進出を決めてガッツポーズする高橋晋也(撮影・渦原淳)
準決進出を決めてガッツポーズする高橋晋也(撮影・渦原淳)

例えば4分戦になった1月のいわき平G3準決。稲垣裕之、山田英明は好位狙い。高橋と根田空史、どちらが主導権を奪うかが焦点だった。高橋の後ろはGPチャンプの佐藤慎太郎。S級に上がって間もない高橋にとって、重圧は相当なものだったろう。

初手は稲垣、根田、高橋、英明の順。まず、英明が後ろから動いて高橋の動きを待つ。ここで、踏み上げた高橋が根田の横で止まって封じ込めた。時間にすれば5秒程度。この動きで、根田は巻き返せなかった。あのまま流れに乗って英明をたたいていたら、根田が巻き返すチャンスはあった。この5秒程度を臨機応変に考えられるところに私は驚いた。慎太郎のアドバイスもあったかもしれないが、並の新人ではない。

10Rの山本伸一、郡司浩平、原田研太朗は「高橋待ち」のレースだ。1番車に慎太郎がいて、緻密にレースを組み立てるだろう。今節の脚力なら、このメンバーで1着を取ることは十分可能だと思う。(日刊スポーツ評論家)