オールカマーや夏に行われる○○オープンという中央のレース。今では特に変わった趣はないが、80年代後半から90年代前半、地方馬に門戸が開かれた数少ないレースで、当時の地方ファンからは、G1並みに熱い視線が向けられていた。

 オールカマーでは86年名古屋ジュサブロー、91年大井ジョージモナーク、94年テレビ愛知オープンでは笠松トミシノポルンガが中央馬を斬り捨て地方ファンの留飲を下げた。園田インターロッキー(92年テレビ愛知オープン11着)と大井トチノミネフジ(94年吾妻小富士オープン11着、2番人気)のアラブ2頭が挑戦した時の局地的な盛り上がりも強烈だった。その後の統一重賞の整備で、地方と中央の交流は深まったが、半面あの熱さがなくなった寂しさも感じる。

九日俊光調教師
九日俊光調教師

 今年の小倉日経オープン(芝1800メートル=26日)には、個人的だが、どこかあの熱さを思い出させる地方からの出走予定馬がいる。佐賀のスーパーマックス(牡4=九日)だ。魅力はその芝適性。昨年は1秒6差の8着も、12月チャレンジCは0秒8差の5着、重賞ウイナーが5頭出走の今年の阪神大賞典では1秒1差の9着と進境を見せている。九日(くにち)俊光調教師(58)も「ダートは地元では力の差で勝っているが、遠征では通用しない。明らかに芝馬」と断言する。

 中央のメンバーは未定だが、オープン特別で相手関係は楽になりそうだ。昨年より力もつけており、激走も十分。「今年は暑くて調整が難しい。甘くはない」と師は控えめだが「輸送が短いのは歓迎。ここまで芝で楽しませてくれるのは初めて。特別な馬」と期待の高さも口にする。

 統一重賞の創設以降、地方馬の芝への挑戦は減り、関心も低くなった。しかし、今年は晩夏の小倉で、芝馬スーパーマックスにかつての熱さを思い出して、楽しんでみたい。