<競輪担当・杉森洋一>

19日に終了したG1オールスター(いわき平)は、ナショナルチームのエース格・脇本雄太のG1初優勝で幕を閉じた。5日間の売り上げは目標の110億円を約4億円オーバーして前年度比も106・9%。G1では従来の3月開催からゴールデンウイーク開催に変更した16年日本選手権(静岡)以来となる目標額クリアだった。

ただ、手放しでは喜べない。ファンは高齢化して、現在の競輪を支えているのは年金受給者。その年金支給は偶数月の15日。昨年はお盆休みの前半を重視して11日スタートで15日決勝の日程だった。今年は年金受給者の取り込みも意識してか、15~19日に変更された。これが当たったとみるのが妥当だろう。ただ小手先の日程変更で売り上げ微増したとしても、抜本的な改革にはつながらない。それでは、今何が必要なのか。

まず進化するレースへの対応だ。2月のG1全日本選抜を制した新田祐大と、今回の脇本はともに20年東京オリンピック(五輪)を目指すナショナルチームの一員。賞金ランク10位の渡辺一成や深谷知広も同様。彼らは本番へ向けて、より進化を続けるだろう。さらに短期登録制度で来日中のグレーツァー、ブフリ、ボスらが圧倒的なスピードを武器に優勝を量産している。スピードとパワーを併せもつ選手の躍進で、確実にレース形態が変わってきた。

しかし業界は対応し切れていないように感じる。G1となると旧態依然としたライン重視のマンネリメンバーが並ぶし、数あるG1、G2も一部を除いて、特色を出し切れていない。来年は五輪前年とあって、ナショナルチームに属する脇本や新田らS級S班のトップクラスの国内参戦は難しい。スター不在で興行的には一層苦しくなる。その中でビッグレース準決での公開枠番抽選や、外国人選手のG1、G2出場解禁など、大胆な変革を望みたい。