女子が男子に勝つこと。それは女子レーサーにとっても永遠のテーマである。「ボートレーサー養成所」に入所するとき。あるいは本紙「ビューティフル ボートレース」で取材するとき。多くの女子選手が答える。「男女対等に戦える場所。同じ舞台で戦える」と異口同音に話す。
実際は厳しい。SGで女子選手の優勝がないのも現実。最近では、小野生奈ら女子のトップ選手がSGで予選突破こそ果たすものの、優出をあと1歩のところで逃している。
「SGのときに長嶋(万記)さん、遠藤(エミ)さんと『どうやったら男子に勝てるか』と話すことはあります」。小野がそんな話を切り出したのを思い出す。
福岡9月の男女混合一般戦の時だ。実森美祐がこんな質問を切り出してきた。
「一般戦では、なかなか着に絡めないです。どうすれば、いいのでしょうか」
- 実森美祐(撮影・上山淳一)
実森といえば、若手女子でも売り出し中の選手だ。ダッシュ一本だけで、7月の丸亀ヴィーナスシリーズ、8月の尼崎G3オールレディースで優出した。
3年前に平高奈菜が福岡周年に来たときに、こんな話をしたのを思い出した。平高は、周年以前は女子戦を転戦。その周年で女子参加は3選手だけだった。
「男女混合戦に入る前に気持ちの切り替えをします。G1やSGでは太刀打ちできないですね」
その切り替えの中身とは、こんな内容だった。
「女子戦は1Mで勝負が決まることが多いです。でも男子が一緒だと競ることが多い。心の準備は必要です」
この話を伝えると、実森は目を輝かせながら「参考にします」と感謝していた。ぜひこの先輩の金言を生かして、今後は男女混合戦でも活躍してもらいたい。