石野時代が到来! 1番人気の石野貴之(35=大阪)が、インから冷静に踏ん張った。通算6度目のSG制覇は、5月福岡オールスターからの連続V、鳴門では昨年7月オーシャンCからの連続Vというおまけ付き。過去1年でSGを4回優勝した選手は、初めてという快挙も成し遂げた。獲得賞金は8700万円を超えてマネーバトルの単独トップに立った。次節の7月丸亀オーシャンCでは、史上3人目のSG3連続V、史上初の同一タイトル3連覇を目指す。2着は篠崎仁志、3着は岡崎恭裕の福岡勢だった。

 石野貴之の人間力が記録ずくめのSG制覇を呼び寄せた。スタートタイミングはコンマ14のトップタイ。しかし、スリット手前でレバーを放った影響でスピードが乗らない。2コース丸岡正典が内に寄せてプレッシャーをかけ、3コース岡崎恭裕もツケマイで迫ってきた。見ている側なら誰もが石野の敗北を予感しただろう。しかし、そこからが石野ワールドの真骨頂。窮地に陥ったはずなのに、丸岡を強気にけん制。さらに握った岡崎を冷静にブロック。気がつけば1Mの出口は石野が先頭にいた。

 石野 あまり慌ててなかったですね。丸岡(正典)さんが差しに構えてくれたし、3番(岡崎)のエンジン音を聞いて、引きつけて回ろうとした。オールスターを勝って、賞金的に余裕ができたのは大きかった。

 仮にグランプリの優勝戦でも、一般戦の予選でも、心技体にぶれはない。自分を客観的に見られる力も備えている。SG連続Vも、鳴門でのSG連続Vも、必然の結果だった。

 石野 毎回、優勝したいと思って来るし、(連続Vは)あまり考えていなかった。僕は自分の仕事をするだけ。

 次節も記録ずくめの挑戦は続く。丸亀オーシャンC(7月12~17日)を勝てば、史上3人目のSG3連続V、さらに史上初の同一SGタイトル3連覇。「(優勝)できたら格好いいけど、こればっかりは分からないので」。最大の目標である年末のグランプリへ道半ば。どんな記録が付いてこようと、油断なく突き進む。【津波謙次】

 ◆石野貴之(いしの・たかゆき)1982年(昭57)6月3日、大阪府生まれ。90期生として02年5月住之江でデビュー。10年7月丸亀オーシャンカップでSG初優勝。通算優勝はSG6回、G15回。同期は吉田拡郎、宇野弥生ら。165センチ、51キロ。血液型O。