関浩哉(23=群馬)が度胸の踏み込みで大会最年少V。最終日12Rで優勝戦が行われ、1号艇の関がインからトップスタートで逃げ切り、自身初優勝をG1で達成した。前進の新鋭王座決定戦を含め、23歳10カ月での優勝は、最年少記録更新となった。2コース差しで見せ場を作った松尾充が惜敗の2着。3着は安河内将が入った。

あどけない顔とは裏腹に、23歳の新鋭は勝負師だった。関浩哉のインからのスタートはコンマ02。デビューから3年11カ月。まだ優勝すらなく、しかもフライング持ち。どこにでもいるような青年が、初めて乗ったG1優勝戦の1号艇で、強烈な踏み込みを見せた。

1Mも相手は関係ないとばかりに全速旋回。バックは2コース松尾充の差しが届きかけたが、スピードの差がものをいった。「スタートは少し様子を見たけど、入っていると思っていた。バックではちょっと締めていければ大丈夫だと」。大舞台にも動じることなく、状況を冷静に分析。自分に打ち勝ち、初優勝でビッグタイトルを手にした。

デビューから3年間はダッシュ一本を貫いた。17年10月、桐生ルーキーシリーズでは準優の1号艇を獲得しながら6コースに出た。「あの時は葛藤がありました。地元の1号艇で何でコースを取らなかった? と言う人もいた」。しかし、師匠土屋太朗の教えをかたくなに守った。昨年11月からスローを解禁。ダッシュ戦で磨いたテクニック、スタート力がより生きた。遠回りした日々は、大きな栄光となって返ってきた。

これで来年3月のSG戸田クラシックの出走権も得た。今年SG2冠でボート界トップを行く、毒島誠と同じ舞台に立つ。「群馬にはすごく突っ走ってる先輩がいる。学びたいことがいっぱいあります」。上州から生まれたニューヒーローの物語は、まだ始まったばかりだ。【東和弘】