近畿の頂点へ駆け上がれ!トップルーキー鼎談/三国

焼き肉店で乾杯する左から上條暢嵩、木下翔太、丸野一樹(撮影・田崎高広)

 三国ボートのG1「第60回近畿地区選手権」は、明日10日から15日まで行われる。全国屈指と言われる近畿のトップレーサーが集い白熱すること必至。そんな中、17年トップルーキーに選ばれた木下翔太(25=大阪)、丸野一樹(25=滋賀)、上條暢嵩(23=大阪)が近畿NO・1の称号をかけて決起集会を行った。負けん気の強い3人がプライベート、レースについて熱く語り、大会前から「火花」を散らした。

<3人は仲良し>

 -3人が知り合ったきっかけを教えてください

 木下 僕とマル(丸野)は、やまと学校で半年だけ被っていて、話はしていました。ノブ(上條)とは、最近になって外で一緒に会うようになりましたね。

 上條 ほんと最近です。

 木下 家がめっちゃ近いんで、よけいに会う回数が増えているな。

 上條 ゴルフに行ったり、パチンコをしたりとか(笑い)。

 丸野 遊んでばっかりやん。

 上條 パチンコは木下(翔太)さんが強いし、ゴルフも強い。

 木下 そのジャンルだけ、たまたま強いだけやで。

 丸野 弱いのはボートだけやな。

 木下 おいっ。

 丸野 正月の住之江でフライングしたしな。

 木下 痛いとこ突くなあ。まあ、みんな友達みたいな感じですね。

 -3人ではよく遊びますか

 丸野 ゴルフとか、飲んだりもするな。

 木下 マル(丸野)は京都に住んでいるのにすぐに大阪へ来て飲んでいますよ。

 上條 僕らより、大阪で飲む店を知っていますね。

 木下 できるやつやな。やっぱり、これ(両手をたたきながら)をやるから。

 上條 すぐ、手をたたきますからね。

 木下 何でもかんでも、頼む時はすぐシャンパンやから(笑い)。

 丸野 それは盛り過ぎ。

 木下 何か、俺が知らん女の子の誕生日や言うて、シャンパン頼むしな。

 上條 ケーキも頼むし。

 丸野 は? よう言うたな。木下(翔太)が一番、遊んでるやないか。

 木下 みんながムードメーカーやから、3人が会うと話が止まらんわ。

 丸野 でも、レース場では小学校5年生レベルの会話しかしてないもん。

 上條 僕なんか、やまと学校を出たころは、まだ木下(翔太)さ~んって言うてましたから。今、考えたら寒いですわ。

 木下 何言うてんねん。

 上條 お互い気持ち悪いですね。

<トップルーキー>

 -今回、企画で3人を選んだのは、17年の近畿地区トップルーキーに選ばれたタイミングで、お願いしました

 木下 こうやって日刊スポーツさんで出してもらえるのは、有り難いです。

 上條 トップルーキーの中なら、僕らが一番、仲がいいんちゃいますか。

 木下 他の地区と比べても、近畿が一番いいかも。あっ、そういえば、カッパ(乗艇着)をもらえるって聞いたで。

 丸野 そう。トップルーキーだけは、赤色のカッパが支給されるんやて。

 -特別扱いなんですね。今までは、どういう服を着ていましたか

 木下 昨年までのスター候補生は同じ色の服で、★の数でランク分けされていたんです。

 上條 フレッシュルーキーは何かあったかな。

 木下 いや、何もなかったはず。

 丸野 トップルーキーだけしか着れないんや。

 -3人ともA1級に昇格するまで、いろいろな苦労はありましたか

 木下 (2人を見ながら)オレの背中を見て育ってきたよな。

 丸野 よう言うたな~。

 上條 僕は、木下(翔太)さんの背中を見て育ちましたよ!

 丸野 まあ、翔太(木下)が最初にA1になって、上の舞台で頑張ってくれた。それを見て、僕も頑張ろうと思ったな。

 木下 でも、昔はマル(丸野)が先にA2級になっていたからね。僕がB1級にいて、もどかしい感じがあったもん。

 上條 B1級ぎりぎりで何してたんですか。

 木下 何してたって…。3~4年前は、事故パン(事故率が高い)で大変やったからな。

 丸野 翔太(木下)が遠回りしている時に、僕はこつこつ頑張っていました。

 木下 あのころは、負けられへんと思っていた。

 丸野 何年か前、B1級で津を走った時、翔太(木下)に早く追いつくわと話した記憶がある。

 木下 そうやったかな。今もみんなお互いに頑張ってやっているからね。

<お互い好き?嫌い?>

 -3人はレース場でも仲がいいんですか

 丸野 昨年4月に僕がA1級の勝負駆けだったころ、津の記念に追加で呼ばれたんです。

 木下 マル(丸野)が途中から来たやつね。

 丸野 その時、翔太(木下)が優出しよったんです。間近で見て、それが大きかったですね。うれしかった半面…。

 木下 G1初優出な。マル(丸野)、何かそっけなかったもん。

 上條 マル(丸野)ちゃん、そういうところある。素直に喜べない感じが…。

 木下 確かに、マル(丸野)は負けず嫌い。昔から、顔に出るしなあ。

 木下 俺が優出した時におめでとうって言うたん、覚えている?

 上條 どんな言い方でしたか。

 木下 おめでとっ。

 上條 はやっ、それに言葉が短っ!

 木下 おめでとうの言葉に、悔しさがあふれていたもん。

 上條 何でG1で優出したん? って感じでしたか。

 丸野 そんなことないって、ほんま。

 上條 めっちゃ露骨…。

 木下 例えばルーキーシリーズを走った時に、6着で帰ってきた時の顔みたいやったもん。

 上條 ほんと、出したらアカン顔を出すから。ださい。謙虚に出しますね。

 木下 いい言葉で言うたら、いい性格で負けず嫌いやけど…きもいね。

 上條 引く、引く(笑い)、ほんまに重い。

 丸野 言われっぱなしやわなあ…。

 木下 あと、ノブ(上條)がへこんでいる時、マル(丸野)は、にやにやしているよね。

 上條 ほんま、ひどい。

 丸野 そうかなあ。あまり活躍されるのは嫌やけど(笑い)、みんながぼろぼろになるのも嫌やねん。

 木下 分かる、分かる。

 丸野 みんな、準優ぐらいには乗ってほしいから。

 上條 準優でも1号艇やなく、5号艇ぐらいがいいんでしょ。

 丸野 優勝戦の2、3枠に乗られたら嫌やで。ガチで結果を出されたら、やり過ぎって思う。

 木下 うれしい1割、だるい9割みたいな。

 丸野 いやいや、その時はちゃんと応援するって。

<記念、SGへの思い>

 -記念を走ると、SGレーサーとの違いは何だと感じますか

 木下 何でできへんのかな、何が違うのかな、とか思うなあ。同じ人間やし、一緒やのに。

 上條 エンジン出しが、完全に足りないと思う。

 木下 僕たちは、まだ引き出しが少ないかな。

 上條 そこはでかい。

 丸野 一般戦やったら、優勝せなアカン気持ちが強いけど、記念に行くとまだ上を目指せる部分がいっぱいある。それはうれしい。1着を取ったら、めっちゃうれしい。

 木下 楽しいよな。

 丸野 楽しいけど、課題はたくさんあるね。エンジン出し、ペラ調整も記念は1走1走が大事やから、バチッと合わせるのが難しいもん。

 木下 オレは今、逆に焦っている。G1戦で結果を出したいから。もう結果を出さなアカンと思う。調整も楽しいけど、優勝なりして、早く上の舞台に行かないと駄目。

 上條 大阪支部にいると、余計に感じますね。

 木下 25歳やし、まだ若いって見られているけど、G1戦に参加しているだけじゃアカン。

 丸野 そうやなあ。

 木下 チャレンジャーというより、今はSGに行かなアカンと思っている。いいエンジンで勝てない時は、もどかしいし、悔しい。マル(丸野)より先にG1に行って優出もしているから、余計やわ。

 丸野 そう思うんやな。

 木下 2人より先に勝たなアカンと思う。仲はいいけど、年は上やし。

 上條 先に木下(翔太)さんが行っているから、僕は引っ張ってもらっていますね。A1級になって、優勝をポンポンとした時にSGの可能性が出てきたので、余計に感じます。

 木下 ほんまに思っている? ノブ(上條)は考えているように思わんけどなあ(笑い)。

 上條 そんなことないですよ。SGも視野に入れていかないと駄目だと思います。今まで考えていない部分が、少しずつ見えてきた感じはします。

 木下 いずれ数年後はSGに行くはずやけど、今の段階で(SGに)行かないとアカン。ノブ(上條)はまだ23歳やし、早くSGに行った方がいい。

 上條 若い時にSGへ行った方が絶対にいい。

 木下 昔も厳しかったけど、今は頭を使う厳しさがあると思う。

 上條 僕もそう思います。実は昨年、1年間ずっと頑張っていたら、SGのグランプリシリーズ戦に出場できるチャンスがありましたから。

 木下 ノブ(上條)は出場まで、賞金がちょっと足りんかっただけやもんな。

 上條 今年は1月からが本当に勝負なんです。

 丸野 俺も確実に出たい。最低でも、グランプリシリーズ戦には出たい。

<いざ、近畿NO1へ>

 -大阪、滋賀支部はともに強い選手ばかり

 木下 先輩の人たちも期待してくれていると思うから、結果を出したい。

 上條 僕なんか、めっちゃ歯がゆい感じがします。

 丸野 僕も滋賀支部で頑張って、チャンスをもらえるようにしたい。そういえば、正月戦の時に住之江が映っていたから、ずっと見ていたもん。

 木下 俺のフライングを見て笑っていたんやろ?

 丸野 いやいや、笑ってないって~。

 上條 そういうとこ。だから、マルちゃん(丸野)はやらしいねんなあ。

 丸野 だから、いじるとこちゃうって。

 -さて、明日から始まる近畿地区選って、どんなイメージですか

 木下 僕は1回だけ出場しました。

 丸野、上條 僕たちは初めて出場します。

 木下 メンバーがかなり濃いイメージはあります。近畿地区で結果を残せるのは大きいと思います。

 上條 まだ、行ったことがないから、分からない部分もあります。でも、僕は今年最初のG1なんで、この結果が良ければ、乗っていけると思う。

 木下 あっ、今年最初のG1戦なんや。

 上條 はい。流れをつかむ意味でも、いいG1だと思います。オーシャンCの選考ポイントもありますしね。

 丸野 僕はヤングダービーで優出したから、もう1回優出したいんです。まぐれでもいいから、もう1回優出したら、オーシャンCの出場が見えてくるかもしれないから。

 上條 でも、ヤングダービーの優出は大きかったですよね。

 丸野 予選18番目で乗って優出したからね。

 木下 でも、今年の近畿地区選で優勝したら、3月のSGクラシック(児島)に行けるからね。だから、結果が欲しい。

 上條 あっ、そうかあ。

 丸野 僕もこの地区選は鍵になりそうです。

 上條 どれだけいい内容のレースができるかで、今後が変わると思う。流れに乗れたら、今年はまた調子が上がると思います。

 丸野 僕も優出したいので頑張ります。

 木下 3人で頑張ろう。

 丸野 何か、まとめ役になっているけど…。俺も翔太(木下)に負けへんで。

 上條 僕も負けません!

 ◆丸野一樹(まるの・かずき)1991年(平3)8月5日、京都府生まれ。ボートレーサー養成第109期生として、11年11月にびわこでデビュー戦初勝利。初優勝は昨年5月の三国一般戦。通算優勝回数は1回。G1は昨年9月の常滑ヤングダービーで初優出(6着)。同期は芦村幸香、島村隆幸、永井彪也ら。165センチ、53キロ。血液型A。

 ◆木下翔太(きのした・しょうた)1991年(平3)4月3日、大阪府生まれ。ボートレーサー養成第108期生として、11年5月に住之江でデビュー。初優勝は15年5月からつルーキーシリーズ。通算優勝回数は6回。G1は昨年4月の津周年で初優出(5着)。同期は上村純一、小野達哉、江崎一雄ら。171センチ、52キロ。血液型A。

 ◆上條暢嵩(かみじょう・のぶたか)1994年(平6)1月4日、大阪府生まれ。ボートレーサー養成第110期生として、12年5月に住之江でデビュー。初優勝は昨年6月の住之江一般戦。通算優勝回数は3回。G1は計6節出場して優出なし。同期は三浦敬太、福田宗平、前出達吉、白神優、村上遼ら。167センチ、51キロ。血液型O。