児島ボート開設65周年記念「G1児島キングカップ」が明日2日から6日間、開催される。ニッカン独自の視点で掲げたシリーズのテーマは「将棋頭」と「女子力」。地元の両輪、吉田拡郎と茅原悠紀が“将棋頭”を駆使して周年制覇に王手をかける。ボート界最強棋士の上滝和則や屋敷伸之九段もエールを送る。
「先を読む力の大切さは将棋もレースも同じだと思うんですよ。レースで勝ち切るのもあらかじめ想定されることをしっかり把握して、それに体がどう反応してくれるかですからね」
同期の石野貴之はオフの間、対戦が想定される対戦相手のレースを繰り返し見て徹底的に分析する。その話を伝え聞いて事前の“読み”の大切さは身に染みている。最近の石野の活躍を考えれば当然だろう。
吉田自身は14年に大ブレークした。大村周年でG1初優勝を飾った勢いで、丸亀のオーシャンカップでSG制覇も果たした。好調の原因を、オーシャンC開催中に「耳打ち」されたことがある。父の余命が残り少ないこと、そしてどうしても生きている間にSGで優勝する姿を見せたかったこと。だが、父が生きている間は決して公表できなかった。丸亀の優勝インタビューでそれに触れられない記者がどれだけもどかしかったか。
14年のようなモチベーションを再びよみがえらせることは困難だ。それでも今年は9月の住之江で久々にG1を制した。道中の冷静な読みとさばきが際立った。
教育者として厳格だったが、ボートレーサーになることを許してくれた父。親子にとっても思い入れが深い地元の水面で高いモチベーションを保ち、冷静な読みと俊敏ハンドルで児島キングに王手をかける。(取材・構成=神田成史)
◆吉田拡郎(よしだ・かくろう)1982年(昭57)4月18日、岡山県生まれ。90期として02年5月の児島でデビュー。04年10月児島で初優勝。14年7月丸亀オーシャンカップでSG初制覇。G12回を含めて通算37回優勝。同期に石野貴之、宇野弥生ら。170センチ、57キロ、血液型B。