野見山拓己、野球部同僚の羽野追い甲子園へ/徳山

嘉穂東高野球部のチームメートだった野見山拓己(左)と羽野直也(撮影・芹沢誠)

5月にデビューした124期の野見山拓己(24=福岡)は25日の徳山ボート3日目、予選最終日の3Rで6コースからコンマ15のスタートを決めたが6着だった。

このレースを制したのは嘉穂東高(福岡)で同学年の羽野直也。3コースから同じくコンマ15のスタートで、鋭くまくって決着をつけた。野球部でチームメートの2人が、同じレースを走るのは初めてだった。「行き足や回り足が特に弱く、全体的に弱い感じ。ペラをたたいて、試運転をします」。レース後も野見山は、終日整備に追われた。

「高校時代に羽野君と同じクラスになったことはありませんが、野球部で一緒に汗を流した仲間です。率直に言って、甲子園に行けるような実力はありませんでした。でも、監督が厳しくて、きつかったですね。野球をしている時間よりは、誰かの家に泊まって、ばか騒ぎをしたりして遊んだことが印象に残っています」

高校時代は野見山が捕手で羽野は外野手。野見山は西南学院大を卒業してからボートレーサー養成所に入ったため、114期の羽野とは10期違う。

「今回の徳山が初めて一緒のあっせんになりました。宿舎も同県の上原(健次郎)君と3人で同部屋です」

そんな「元同僚の先輩」は、これ以上ないお手本だった。

「まずレース場に入ってからの羽野君の仕事に対する姿勢に大いに触発され、見習うところがたくさんあると感じました。普段の彼をよく知っているわけですが、仕事場では、今まで僕が見たことのない羽野君がいます。全てにおいて抜かりがなく、徹底していて妥協がない。技術はもちろんですが(自分と)天と地ほどの差をあらためて感じました。とてもいい勉強になりました」

今の自身の課題を「まずターンです。思い切りが足りない」と分析する。将来の目標は「記念を走れるレーサーになりたい」という。

今節の参加選手は43人。その中で羽野は得点率トップで予選を突破し、26日の準優1号艇を手にした。トップクラスのA1選手と新人選手を同じ土俵で語るのは、酷というもの。それでも野見山が、ライバルになれるよう追いつけるかどうかは、自身の努力にかかっている。

浜名湖では「G2第1回全国ボートレース甲子園」開催されている。福岡代表として出場できるチャンスもあるだろう。ただそれは、自分の力でつかむしかない。高校時代に行けなかった甲子園だが、ボートレースの世界なら、まだ道は開かれている。【芹沢誠】