森且行転身24年、守れた約束“日本一”/川口SG

日本選手権で優勝しウイニングランする森且行(撮影・柴田隆二)

<川口オート:日本選手権>◇SG◇最終日◇3日

森且行(46=川口)が悲願のSG制覇達成! オートレースの日本一決定戦「SG第52回日本選手権オートレース」優勝戦(10周回=5100メートル)が3日、埼玉・川口オートレース場で行われ、6周回で先頭に立った森がオート界最高峰のレースを制した。タレントからオートレーサーに転身。97年デビューから24年目で初のビッグタイトルに手が届いた。

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てっぺん、取ったぞ! 元SMAPの森が悲願のオートレースSG制覇を果たした。夕闇が迫り、ナイター照明も点灯された優勝戦12R。10周回、5100メートルで争われ、6周回で先頭に立った森がそのまま押し切って、97年7月のデビュー以来、24年目で念願のオート界最高峰のタイトルを手にした。

6周回3コーナーでドラマが待っていた。先頭をひた走る鈴木圭一郎のペースが上がらず、荒尾聡が内から抜いた。そこでアクシデント発生。荒尾の後輪に鈴木の前輪が接触、2人が落車した。3番手を走っていた森の視界が突然、開けて一気に大仕事が現実味を帯びた。追い詰める金子大輔を振り払う形でトップゴール。表彰式では涙声で喜びを表し、悲願への長い道のりに感極まった。

「(日本一になるといってオートレーサーになったので)約束が守れて良かったです。スタートは練習から手応えがあって自信を持っていきましたが、エンジンの手応えはそんなに良くはなかった」

デビュー戦で初勝利するなど、オートレース界にフィーバーを巻き起こしたスターが、苦境にも耐えに耐え、努力を積み重ねて泥臭く栄冠をつかんだ。「本当に二十数年間、頑張ってきて全然、SGの優勝に届かなかった。日本選手権という一番取りたいタイトルを取れてうれしいです」。喜びをかみしめると、川口オートレース場に詰め掛けた7000人ほどのファンから大きな拍手を受けていた。【木村重成】

◆森且行(もり・かつゆき)1974年(昭49)2月19日、東京都生まれ。88年にSMAP結成。91年9月、CDデビュー。96年5月にグループ脱退。97年7月にレーサーデビュー。川口所属25期生。S級25位。97年に日刊三賞特別賞、14年に特別賞を受賞した。G12回、G23回、G31回優勝。通算優勝32回で生涯獲得賞金は6億7288万6045円。趣味は旅行。177センチ、59キロ。血液型B。

<オートレースQ&A>

Q レースのルールは?

A 基本的には8車で1周500メートルを6周する。選手の技量の差によってハンディが定められ、スタートラインより後方(10メートル単位で最大110メートルまで)からスタート。

Q 競走車は?

A 不必要なものは一切装備されていない。コースが左回りのため車を倒したときにハンドルが平行になるように取り付けられている。ブレーキは追突事故防止のため付いていない。

Q 選手数や賞金は?

A 総数は395人。元SMAPの森且行や元ロードレース世界チャンピオンの青木治親もいる。昨年の獲得賞金NO・1は青山周平(35=伊勢崎)で1億481万1060円。平均獲得賞金は1165万9948円だった。

Q 開催場所は?

A 全国5カ所にレース場がある。伊勢崎、川口、浜松、山陽、飯塚で開催される。

◆SGタイトル オートレースの最高峰タイトルで、スーパーグレードの略称。<1>スーパースター王座決定戦<2>日本選手権<3>全日本選抜<4>オールスター<5>オートグランプリの5大会がある。なかでも森が制した今回の日本選手権はSGでも伝統あるタイトルだ。