<いわき平競輪:日本選手権>◇G1◇5日目◇7日
【松井律・競輪黙示録スペシャル】
悩める吉田拓矢が、1つ大きな壁を破った。
今年は序盤から取手G1全日本選抜、宇都宮G2ウィナーズカップと、地元地区のビッグレースが続いた。人気を背負い、自分自身にも期待をして臨んだが、結果は…。
打ちのめされ、自分に失望していた吉田に、平原康多、芦沢大輔、吉沢純平らが優しく声をかけた。「自分で背負い込むな。絶対に関東のみんなが助けてくれるから」。
S級S班という“よろい”で身動きが取れなくなっていた吉田の心は、すうっと解放されていった。「僕は守りに入っていた。ただ、パンツの色が変わっただけのことなのに」。
真の日本一を決めるダービーの舞台でも、もうガチガチになることはない。今大会の作戦はいたってシンプル。「行くべきところで行く」だけだ。
特選で先行し、ゴールデンレーサー賞はまくった。なかなか連係が決まらなかった平原と、2走続けてワンツーフィニッシュ。全日本選抜で苦言を呈していた平原は、「1走目はしびれた。2走目は(吉田)拓矢の考えでやってもらった」と、吉田の成長に目を細めた。
準決11Rに参謀役の平原はいない。しかし、もうどんな局面も恐れない。「出し惜しみはしない。力勝負で勝ってこそ、決勝を戦う自信にもつながると思います」。SS戦士として独り立ちした吉田が、脇本と新山の間隙(かんげき)を突いて、力強くまくる。(5)-(8)(1)(2)(6)-全。