【競輪】ガールズ伊藤優里 兄・裕貴&稔真の背中追い前へ前へ/注目ルーキー

大好きな果物を抱えて笑顔の伊藤優里(撮影・前岡正明)

<Girl 's Collection(ガールズコレクション)2024>

ガールズケイリン126期生の注目選手を紹介する「Girl 's Collection(ガールズコレクション)2024」の3回目は伊藤優里(19=三重)をピックアップ。2人の兄、伊藤裕貴、稔真の背中を追っての輪界入りだ。アマチュア時代から自力にこだわり、いずれ開花する日も近い。

■競輪は身近

兄2人(裕貴、稔真)が選手だ。幼い頃から競輪は身近にあった。四日市競輪場で行われたファン向けのイベントにも参加して、小学生の頃バンクを走った経験もある。レース観戦をすることもあった。おぼろげながら、将来は自分もガールズケイリンに進もうと思っていた。鮮烈なイメージがある。中学1年生だった18年1月、チャレンジ決勝に勝ち上がった稔真の応援のために、父に連れられて奈良に向かった。そこではガールズコレクショントライアル決勝も行われた。レースは打鐘から高木真備と大久保花梨が激しく1周半もがき合ったまま、2人がゴールに飛び込むデッドヒートだった。

■真備さん憧れ

伊藤優里(以下、優里) すごく感動しました。真備さんは強いし、かわいいし、格好いいし。たった3分で鳥肌が立ちました。絶対、選手になろうと思いましたね。真備さんのその後の生き方もまた、格好いいですね。グランプリを勝った次の年に引退して飼い主のいない犬、猫の保護活動するなんて。今でも憧れの選手です。

進路も迷わず自転車部のある朝明(あさけ)高校に進んだ。自転車競技では500メートルタイムトライアルの優勝はあるものの、ケイリンでは準優勝止まり。当時も主戦法は先行だった。

優里 ケイリンでは逃げても最後に追い込まれて、なかなか勝てなかったですね。インターハイの予選で先行して、(養成所同期の中島)瞳に行かれて予選敗退。瞳が「なんで決勝に乗って来ねえんだよ」って言うから「おめえが(後続を)たくさん連れてくるからだろっ!」って言い合って(笑い)。当時から仲は良かったですね。

■浅井が師匠

稔真のつてで浅井康太に弟子入り。養成所に進んでも徹底的に先行にこだわった。競走訓練はラインもなく、全員が敵になる。逃げても真後ろから仕掛けられることも多い。そんな中、先行回数36回のうち16勝を挙げているのは驚異だ。滝沢正光養成所長が直接指導するT教場にも呼ばれた。

優里 乗り方、走り方をいろいろ教えていただきました。私の競走も見ててくれて「そのままの走りでいいよ」と言ってくださいました。

天真らんまんな性格は年長者にもかわいがられて養成所ライフも楽しく過ごした。同期の友人にも大浦彩瑛、豊田美香の2人を挙げている。

優里 私の周りにいつも28歳がいましたね(笑い)。

期待に胸を膨らませてさっそうとデビューすると、ルーキーシリーズ3場所目の松山F2で持ち味の先行で初優勝を飾った。

優里 初日が終わってギアを変えたら良くなりました。でも、ゴールした瞬間も優勝の実感はなかったですね。本当に私が優勝したのかな、私が優勝していいのかなって、そんな思いでした。

7月、本格デビューとなる名古屋F2こそ決勝に進んだものの、その後は苦戦が続く。

優里 名古屋を終えて、選手は大変だな、やっていけるのかなと思いました(苦笑)。それから、自分のことを見つめ直しましたね。弱いところだらけだなって。

本格デビュー2戦目の小田原F2では初日、2日目と奥井迪にこてんぱんにされた。連日、仕掛けるものの、その上を奥井にあっさりと行かれた。それでも、最終日に逃げ切ると「いい競走だったね」と奥井からお褒めの言葉ももらって励みになったと話す。

■タテ足魅力

伊藤の魅力はアマチュア時代から培ったタテ足だ。勝てなかったレースでも流れ込みの競走はない。必ず1度は仕掛けて、競走を動かそうとしている。唯一、動けなかったのは8月伊東F2の2日目。内に詰まって仕掛けるタイミングがないままレースが終わった。

優里 そのレースは何もできず、すごく悔しかったですね。前前に仕掛ける、動こうとするのが自分のスタイルと思っているから。

近い目標に、まずは優勝。その先にはガールズケイリングランプリ優勝を挙げる。そのためには…。

優里 ダッシュ力、持久力、トップスピード、その他にもいろいろ底上げしなきゃいけませんね。

でっかい野望を達成するために、やることだらけだ。

◆伊藤優里(いとう・ゆうり)2004年(平16)9月29日、三重県川越町生まれ。中学2年から自転車競技を始め、22年3月高校選抜で500メートルTT優勝。養成所126期生として24年5月富山(651)でプロデビュー。通算成績は27戦6勝。通算獲得賞金は296万5000円。165センチ、61キロ。血液型O。

■力付ければ変わる

◆兄・伊藤裕貴の話 真面目だけど感情が強い。負けたら落ち込むって聞く。でも、落ち込んだり悔しがることは大切なことではあるけどね。ガールズのトップクラスと比べたら足がまだ足りない。だから、力を付ければレースも変わると思う。浅井(康太)さんが師匠だから僕が口を出すことはない。競輪場でバイク誘導で引っ張るくらい。ガールズケイリンは未知だからアドバイスはしにくいけど、けがなく頑張ってくれればいい。

■ドライブで息抜き

競走、練習の合間のドライブが伊藤優里の息抜きだ。1人で行ったり、友人と計画を立てて出かけたりいろいろなパターンがあるらしい。「景色を見に行くことが多いですね。岐阜県瑞浪市におばあちゃんが住んでいるので、そこもよく訪ねます。星空がものすごくきれいなんです」。プロデビューを果たして、遠征も増えてくる。富山、小田原、伊東も車で出かけ、ロングドライブも苦にならないそうだ。