【競輪】ガールズ仲沢春香 126期成績1位&卒記女王、28年ロス五輪目指す/注目ルーキー

笑顔で写真に納まる仲沢春香(撮影・江口和貴)

<Girl 's Collection(ガールズコレクション)2024>

注目のガールズ選手を紹介する「Girl,s Collection(ガールズコレクション)2024」のラストは、競輪選手養成所126期の在校成績NO・1&卒業記念レース女王の仲沢春香(24=福井)だ。ガールズケイリンで目覚ましい活躍をしているが、自転車競技トラック種目のナショナルチームBに新メンバーとして加わり、28年のロサンゼルスオリンピック(五輪)代表も目指す逸材だ。【取材・構成=山田敏明】

★伊豆ベロドローム

仲沢春香が世界の舞台へのスタートラインに立った。今月、念願がかなって自転車競技短距離のナショナルチームBに選出されたのだ。現在の練習拠点は伊豆ベロドローム。選手養成所時代には女子選手ではただ1人、HPD教場(※)のメンバーに選ばれ、このベロドロームでも練習を重ねた。

「卒業前の1月になってナショナルチームの練習生として残っていいと言われたんです。125期の3人(中石湊、阿部英斗、森田一郎)はBチームに入りました。費用負担をすることなく日本トップの環境で練習できるのは、普通のことではないのだと痛感しました」と振り返ったように、厳しいトレーニングを重ねることで競輪の走りは着実にレベルアップしていった。

126期生の中で卓越した実績を残した仲沢は、主戦の場であるガールズケイリンで注目度が高い。だが、時には逆風も吹いた。デビュー戦の5月富山では予選で連勝したものの決勝は5着に敗れた。

「何が悪かったのか理解できなくて落ち込みました。泣きそうになったんですが、太田りゆさんから『メディアの前で涙を見せたら駄目! いい餌食になっちゃうよ』と言われたのを思い出してぐっとこらえました(笑い)。今は優勝できることが多くなったけれど、高いレベル(G1)で戦うためには課題が多い。車間の切り方やスピードの乗せ方、焦って無駄足を使ってしまうなど反省点がある。まず競輪で細かい部分がしっかりできないと競技で勝つのは難しいと思う」。ガールズケイリンでの当面の目標は来年6月のG1岸和田パールカップ出場。その先にはガールズグランプリ出場がある。

★ボート競技で活躍

今でこそスポットライトを浴びる立場になったが、忘れられない挫折と逸話がある。ボート競技で高校時代から頭角を現し、実業団の関西電力に所属。全日本シングルスカルで3位など活躍した。だが、その後の成績の伸び悩みもあって競技生活にピリオドを打ち、1年10カ月で退社した。

「実は退職後に自衛隊に入るつもりだったんです。入隊した後に自衛隊体育学校を目指すつもりでした。何の競技ができるのかを考えた時に出た答えがボクシング。まずジムに通いながらやってみようと。当時は自分なりの終着点だったんです」。その気持ちを高校時代のボート部の顧問に伝えると「それよりもいいのがある。ガールズケイリンだ」と新しい道を示された。

「食べていけるかどうかは別として、スポーツで目標を立てて上を目指していく気持ちが捨て切れていなかった。だから選手養成所に受からないと後がないという気持ちで自転車の練習をしました」。練習の傍ら、福井競輪場で走路補助員のアルバイトをして競輪に接していくうちに「選手になる」という覚悟も固まっていった。

★JAPANに憧れ

ボート競技者としては身長が低く、手足もさほど長くなかったため、指導者から「ちんちくりん」と評された体格は、養成所に入ると「あれ、私の身長高くない?」とフィジカル面で優位に立っていることにも気がついた。

ナショナルチームの正式メンバーとなった今、いろいろなことに思いをはせる。メンバー入りの大きな要因になったのは、パリ五輪後の9月に行われた全日本自転車競技選手権の女子ケイリン。決勝で優勝した梅川風子に続き2位に入った事が評価された。

「実は今年、メンバーに入らなければ福井に帰ろうと思っていたのでアピールできた大会だった。今のところ競技に関しては不安しかないけれど、自分に必要なことはレースに出てみないと分からないこともある。怖さもあるけれど、走っているうちに自然と覚悟が固まってくると思う」と前を向いた。

強化指定選手だけが享受できる喜びもかみしめている。それは「JAPAN」のロゴが入ったウエアだ。高校でとんとん拍子にボートのジュニア強化指定選手となった仲沢にとって「JAPAN」のウエアは当然のものだったが、そうでないことが理解できる年齢になった。

「JAPANのウエアは今となっては憧れるし、代表たちの姿を見ていても格好いいと思う。ナショナルチームにいることの最終目標は五輪でメダルを取ること。そのためにはまずA代表に上がって結果を残さないといけない。心の準備と体の準備をしていきます」。

28年ロサンゼルス五輪代表への道は遠く険しいが、目標達成のために1歩1歩進んでいく。

※HPD(ハイパフォーマンスディビジョン)教場 16年にJKAがトラック短距離種目の強化育成として外国人コーチを招き、選手養成所内に設置した。世界で活躍できる選手を育てることを目的としたトレーニンググループ。

◆仲沢春香(なかざわ・はるか) 2001年(平13)4月10日、福井県高浜町生まれ。県立若狭高卒。ボート競技を経て23年に126期生として選手養成所入所。第1、3回の記録会でゴールデンキャップを獲得し、在所成績は19人中1位。通算成績40戦35勝(優勝11度)。通算獲得賞金884万1000円。165センチ、64キロ。血液型O。

■短期間で上達

自転車競技短距離ヘッドコーチのジェイソン・ニブレット 仲沢はまだ新人で新しい環境の中でいろいろなことに取り組んでいる。トレーニングを改善しながら続けていて、短期間の間に大きく上達している様子が見える。私たちスタッフの役割として、チームでトレーニングを続けていけるように肉体的、精神的な面でサポートしたい。成長させるための一環として海外の競技大会を経験させたいと考えている。その内容を見て彼女の強みを見極めたい。

■すぐに「強くなる」

師匠の山出裕幸(41=福井、90期) 彼女の高校時代のボート部の監督さんから、ガールズ(ケイリン)を目指している子がいるのでセッティングを見てやってくれと頼まれたのが、一緒に練習をするようになったきっかけだった。真面目な印象だったし、すぐに「強くなる」と分かった。逆に指導するのが俺でいいのかと思ったこともある。今は離れて伊豆で練習しているので「すごいな」と思って見ている。願いとしては、けがだけはしないで欲しい。それ以外は自由にやってくれれば自然と強くなる。