<益春菜のますますオートレース>
伊勢崎オート特別G1共同通信社杯プレミアムカップが19日に開幕します。元オートレース選手・益春菜さん(39)による今回のコラム「ますますオートレース」は“アナザースカイ”からお届けします。8年前、引退を決断した地・ニュージーランドへの旅路で感じたこととは。
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今回のコラムは南半球にあるニュージーランドからお届けします。ここは、8年前に1度訪れた私にとって思い出の場所なんです。当時まだ現役だった私は、その2年前に手術した膝の状態が良くならなくて痛くて痛くてやり切れず、そんな自分に嫌気がさして、自分が嫌になっていた時期でした。ロッカーでの整備もろくにできない。万全な準備ができない自分に腹が立っていました。
だから日本での日常からは想像もできないような広大な自然に触れ、現実逃避をするために選びました。旅をしないと心が病んでしまう、いや、すでに病んでいたのかもしれないです(笑い)。オートレースと距離を取りながら、自分の心の声に耳を傾けた場所に、もう1度足を踏み入れたいと思い、今回家族と一緒にやってきました。
ニュージーランドは、大きく2つの島に分かれた南半球にある国です。北島にある同国最大の都市・オークランドから、南島のクライストチャーチへ飛び、南島を1周する3週間の旅では感動の連続です。大自然の山々と、ミルキーブルーと呼ばれる色の湖が続く道のりを、車で1日2、300キロ大移動する日々は、まさに非日常的。ホテルを転々とし、夜はこちらの主食であるラム肉を焼いて食べてます。
この旅で8年前と同じ場所を訪れ、あのときの心境を思い出しました。大自然からエネルギーをもらいながら曲がらない膝に「私はこれからどうするんだろう?」「やめるんだろうか」と悩みながら「これも運命なのかな」と、現実を受け入れて、その1カ月後に引退。もっとうまくやればよかったのかなと思ったりもしたけど、私の性格では無理でした。
進退に限らず、誰でも迷うときはあります。大なり小なり必ず分かれ道があると思います。そのときに、私は人の意見も大事だと思うけど、自分の本当の気持ちを大切にしています。それで決めたら後悔はしない。1つの扉が閉じたら、必ず新しい扉が開くので、そのときの素直な自分の気持ちがきっと正解だと思います。
モトクロスに乗り5歳から始まったバイク人生を、心残りもなくやりきったと今思えるのは、そうやって自分の声を信じたからだと思います。選手のみなさんには、どうか悔いなく現役生活を過ごしてほしい。あらためてそう実感する旅になりました。(元オートレース選手)