前半、先制ゴールを決めるカタールのアリ(左)(撮影・河野匠)
前半、先制ゴールを決めるカタールのアリ(左)(撮影・河野匠)

まずは、前回「日本は優勝する」と断言したことを、謝ります。

ではなぜ、優勝できなかったか。大きく2つの要因が挙げられる。(1)ターンオーバーできなかった。1次リーグでは、主力を休ませることができたが、トーナメントに進み、部分的にでも疲労感を見せる選手に休養を与えることができなかった。特に、吉田、柴崎、酒井に疲れがみえた。吉田はすべての失点場面に絡んだ。1点目は頭を突っ込んでおけば、相手のファウルで終わるシーン。2点目は足をもう1歩動かしてニアのシュートコースを消しておけば、ゴールにはならなかったが、ファーを消してニアを開けてしまった。3点目は不運があった。

中3日の試合で相手より1日の余裕はあったが、相手は全員が中東でプレーする選手。慣れない気候で1カ月間、生活して戦った日本に、アドバンテージにはならなかった。柴崎もパスの精度が落ちていたし、酒井も力を振り絞ったが、息切れ感と細かいパスミスがあった。

(2)遠藤の離脱が大きかった。代わりに塩谷が出場したが、本来はDFの選手。塩谷のところで相手に起点を作られて2失点した。1点目は斜め前、2点目は斜め後ろから相手は前を向いて攻撃を展開した。これは塩谷の技量の問題ではなく、慣れの問題。ボランチに慣れている選手なら、わざとそこにボールを出させて、パスが出た瞬間、一気に詰めて前を向かせなかったはず。

結果、1-3。カタールは強かった。現段階では力の差を認めざるを得ない。しかし日本は世代交代をキーワードに今大会に挑み、一定の成績は残した。ベテランが引っ張って若手が自信を付けた。チームワークで決勝までたどり着いた。これからはそれに加え、チーム内競争が激しくなるはず。吉田や大迫を脅かす人材は、今大会招集されていない選手の中にもいる。準優勝だったが、日本のチーム力向上へ、いい大会だったと、自信を持って言える。(日刊スポーツ評論家)

カタール戦の前半、ハイドス(左)と競り合う塩谷(撮影・河野匠)
カタール戦の前半、ハイドス(左)と競り合う塩谷(撮影・河野匠)