日本では収容可能人数の半数近いチケットが販売されています。また、拍手を中心とした新しい応援スタイルによって盛り上がろうという動きと、徐々に緩和されつつある様子を感じながら、なんとか以前のような熱狂を取り戻してほしいと願います。ただ、ヨーロッパではいまだ無観客試合が続いています。元に戻る兆しは全く見えておらず、中心街では改めて政府による飲食店の営業自粛というような措置が取られている都市も出始めています。そのような中、フットボールでは各クラブが選手の給与カットに合意を得る動きをしておりますが、今回はこの辺りの数字面をのぞいてみたいと思います。

まず、レアル・マドリードですが、現地では「今年の4月に続くさらなる賃金カットを選手に要求か? 」といったニュースが出回っています。今年の4月に、選手に対してチームは賃金カットを要求し、選手側はそれを受け入れましたが、おおよそ年俸の10%から20%前後のカットと、リーガ・エスパニョーラ優勝ボーナスの放棄に合意したとされていました。この影響もあり8月の夏の移籍マーケットでは、噂されていた選手の移籍はゼロという異例の状況でもありました。

さて、ここでちょっと数字を具体的に見たいと思います。選手の給与がどのぐらいなのかというと、直近1、2シーズンの財政面を見てみると、おおよそではありますが、トップチームの年俸総額はボーナスを除いて2億8300万ユーロ(約334億円)前後であるようです。10%から20%ということですから、約2800万ユーロ(約33億円)から倍の約5600万ユーロ(約66億円)の給与削減になるという計算になります。この部分だけの数字を見ても、Jリーグとは桁違いで、規模が大きすぎて全く実感がありません。

そもそも年間すべて無観客試合になることで、どのぐらいの損失になるのかという部分も合わせて見ていきたいと思います。

レアル・マドリードの売り上げは約1000億円弱になっていたのですが、内訳構成は約20%がチケット収入、そして35%が放映権の収入、そして残りの約45%近くがスポンサーなどのコマーシャル収入とされていました。ここから推測できることとして、チケット収入がそのまま見込めない訳ですから、約200億円近くの収入が見込めないということになります。

つまり、選手の給与を30億円や60億円削ったところで見込みが立たない売り上げが約200億円近くになるわけで、補てんしきれない状況です。

レアル・マドリードの宿敵でもあるバルセロナは選手の賃金を70%カットに同意したとの報道もなされておりましたが、単純に。上記にありますレアル・マドリードの選手年俸総額数字に70%を当て込むと、賃金カットで234億円ぐらいの計算になりますから、なんとなく年間のチケット販売での売り上げと同じぐらいの数字になってきます。

現実的にはサポーターによるチケット収入だけでなく、スポンサー収入やマーケティング面の収入自体も減少しているようで、先行きの見通しは明るくない状況が続いています。そのような中果たして、2度目の賃金カットに選手たちは同意するのかどうかというところがポイントになりそうです。

Jリーグのクラブも非常に厳しいと思います。給与カットという話はまだ表に出てきていない状況ですが、そう言ったニュースが飛び交うのも時間の問題なのかもしれません。