日本が苦戦した最大の原因は、攻撃時の横の揺さぶりに7~8秒も時間を費やす場面が多かったからだ。そこまで費やせば相手守備は態勢を整えられる。5秒以内、理想は3秒ほどで大きなサイドチェンジを仕掛けていけば、決定的なチャンスが生まれてくる。

その象徴が後半の大迫の同点ゴールだ。最終ラインからのダイレクトパスを起点に、左サイドの長友、原口の揺さぶりは2人で計5秒ほど。適度なジャブが入り、大迫もゴール前で準備を整えられ、キックフェイントで仕留めた。前半のように無理な縦パスばかりでも大迫は生きないし、横からのパスだとしっかりと仕留める技術はある。

この暑さ、ボールが走るピッチ、すべてを考えても日本の優位は動かなかった。もっとシンプルなジャブを多用し、前半途中に軌道修正してほしかった。(日刊スポーツ評論家)