久保のボール扱いのうまさ、足技は認める。将来への期待も大きい。だが、世界トップを相手に戦うにはまだ課題がある。

まずはさらに体力や筋力を上げて、南米選手権のような舞台でも当たり負けしない、守備でも貢献できるようになってほしい。今回は戦術的な問題だろうが、久保は守備への負担を軽減されていたように映った。また、本当に必要な選手なら、第2戦のウルグアイ戦も先発のはず。体力面を考慮した森保監督の采配とも思った。結果的には代わって出た三好が活躍したけど…。

例えばチリ代表のサンチェスは30歳で169センチと久保より小柄だが、相手に絡まれても“ケンカ腰”で振り切るし、守備でもファウル寸前のプレーで止める。現代サッカーは全員に攻撃も守備も求められる。例外的に「攻撃専念」なのはメッシくらい。それを補う以上の結果を出すからだ。久保が攻撃偏重になると、守備面で1人減っただけでなく、右サイドバックやボランチが上がれないなど、攻撃面も1人減。エクアドル戦はそんな印象だった。

A代表になれば中島と同じく、今後はドリブルの特徴など研究される。中村俊輔やイニエスタのように接触プレーを避けてスルーパスやミドルシュート、セットプレーで得点を生み出すスタイルも、参考にしていい時期もあるだろう。

一方、周囲の選手との連係、いいパスが得点につながらなかったのはチームとしての責任。同時に久保に過大な評価と期待をする風潮は、いただけない。Rマドリード所属といっても、当面プレーするのはBチーム(スペイン3部)。Jリーグとのレベルの差が不透明で、イメージのずれがある。トップチームに上がったら、手放しで祝ってあげたい。(日刊スポーツ評論家)