日本代表MF堂安律(20=フローニンゲン)が右サイドで存在感を見せた。ここまで森保ジャパンの全4試合に出場。前半26分には華麗なパスワークから右サイドで受け、反転して右足でシュートを放ったが、ゴール左に外れてしまった。だが、右サイドを何度も駆け上がるなど打開力を発揮。運動量の多さも健在だった。

「個人的にすごいチャンスはあったし(外して)反省するべき。だけど、個人的には毎試合重ねるごとに良くなっていると感じていて、タッチの感覚、自信の(つく)感覚が良くなっている。個人的には一番仕掛けられたシーンが多かった」

チームバスの到着は遅れたが、動じなかった。「僕らプロとしてやらしてもらっている以上、臨機応変に対応すべきだと思うし、全然影響はなかった。自分の中ではだいぶ(状態を)上げて試合に入ったので(試合の)入りは良かった」。室内のみでのアップだったが「個人的に問題はなかった」という。

10月のウルグアイ戦で代表初ゴール。世界相手の活躍はさらに自信になった。所属のフローニンゲンに戻って4試合2得点。直近2試合連続得点中だ。チームも一時期最下位だったが、堂安が勝利に導き2連勝中。主力として悩み、苦しんだが、自ら答えを見つけ出た。

「もちろん難しい時期もあって、正直人のせいにしちゃいそうになることもあったけど、結局は自分。自分で何とかしようっていう中で少しずつ(チームも)良くなっていった。人のせいにしてても自分は何も成長できないということを気付かせてもらった3週間だった」

20歳でも「ピッチ上では年齢関係ない」と言い切る。所属クラブと代表を往復することで、世界は広がった。心が軽くなったことで、プレーにも磨きがかかっていった。「(体が)キレているし、技術的にミスが起きてもキレでリカバーできている。今は楽しい」。得意のドリブルは誰にも止められる気がしない。「相手が何を考えてているのか分かる」と、自らの成長を実感した。

大分合宿中、G大阪時代にヘッドコーチとして指導を受けたJ2大分片野坂監督と再会した。15年、ユース所属の高2でプロデビューした堂安を支えてくれた恩師。片野坂監督から「ここからアジア杯でどこまでできるか、律の実力が試されるな」と声を掛けられた。堂安も同じ思い。「そう思っています。地に足つけて頑張ります」。その言葉を聞いた片野坂監督は「律から『地に足付けて』という言葉を聞けるとは。大人になった、成長した。高校生の時は怖いものがない感じだったけど、今は現実と向き合って成長している。うれしくなった」と目尻を下げた。

次は来年1月のアジア杯前最後の国際親善試合キルギス戦(20日、豊田ス)。W杯ロシア大会メンバーから外れた後、目標をアジア杯での主力に定めてきた。最後まで油断せず、アピールに全力を尽くす。