<国際親善試合:日本1-1ベネズエラ>◇16日◇大銀ド

日刊スポーツ担当記者が独自の視点で掘り下げる「Nikkan eye」。今回は、日本代表が臨んだ16日の国際親善試合ベネズエラ戦を振り返る。FW大迫勇也(28=ブレーメン)が中心の前線と控え組の差が明らかになった。来年1月のアジア杯へ、選手層の充実が急務となる。

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いろんな意味で「大迫劇場」だった。前半はFW大迫と“若手三銃士”MF南野、中島、堂安の4人の関係を生かして好機を演出。森保ジャパン始動以来「ワクワクする攻撃」を見せてきたが、4人同時先発は2試合目で連係は確実に深まっている。

特に大迫の存在が大きい。得意のポストプレーだけでなく、若手を引っ張る“兄貴分”として流動的に位置を変え、黒子に徹する役目も果たしながら、2列目の3人を生かしている。実際に堂安は「俺が真ん中に(位置を)取っていたら、勝手にサコ君(大迫)が右サイドを取ってくれる」と驚く。

一方で控え組はどうだろう。後半に前線4人が途中交代。代わりに北川、杉本、伊東、原口が投入された。ワールドカップ・ロシア大会メンバーの原口はさすがの存在感だったが、4人の関係は先発組との差を感じずにいられなかった。森保監督も「大迫は非常にいい選手で、彼に代わる選手がいない現状はある」と認めた上で「だからこそいろいろな選手に経験してもらって、層を厚くできるように、戦力になってもらえるような選手を育てていけるようにしたい」と話す。

来年1月には2大会ぶり5度目の優勝を狙うアジア杯が開催される。決勝まで計7試合、約3週間の日程を中2日、中3日でこなしていかなければいけない。過密日程を戦い抜くには選手層の厚さが必要。ベネズエラ戦の後半のような攻め手に欠ける展開になるなら、経験豊富で順応性の高い海外組の方が、攻撃の選択肢が増えるように思う。

例えば、これまで森保ジャパン未招集の香川や久保、乾、武藤ら。彼らの経験を南野らに伝えることも刺激となり、大迫の負担も減る。今回招集外だったメンバーはテストができない。だからこそ、海外組に頼る時が来たのではないかと思う。【小杉舞】