関塚技術委員長は会見で何度も「感謝」を口にした。

シーズン真っ最中、日本協会が拘束力を持たない南米選手権へ、Jの11クラブが選手派遣を了承した。発表前になって海外の数クラブが急に派遣を渋り、そのしわ寄せがJクラブにきた例もある。さらに近い時期にU-20W杯、トゥーロン国際大会があり、Jクラブからは多くの若手が2週間以上もチームを離れることになった。同委員長が「交渉が大変で胃が痛い」と漏らした、との話も聞く。

南米連盟と日本協会は、30年以上も前から友好関係にある。今後も日本代表が招待される可能性は高く、同様な問題は4年後、8年後にも起こり得る。「(クラブとの交渉は)長期的に調整する必要がある。大会が終わった時点でしっかり精査しながらやっていきたい」。関塚委員長は無難な言い回しで今後の招集プランを口にした。つまり、現段階での解決策はない。今回は東京五輪を1年後に控えているからこそ協力を得られた部分が大きい。

日本協会は現在、来年の日程調整の件でJと協議を重ねている。「東京五輪で金メダル獲得が目標」とし、3、4、5月の計3度、五輪代表候補合宿を要請している。しかしJは、かなり否定的だ。シーズン中に主力を3度も抜かれるとダメージが大きい。

現時点では5月に1度のみの合宿が折衷案として有力だ。Jの説得に同委員長は「愛国心」を連想させる言葉を多く口にしているようだが、Jに関わる人で「国のため、日本サッカーのため」と思わない人はいない。合宿を3度要求されて1度しか応じないと、送り出すJとしては申し訳ない気持ちになることもある。

決してうまい交渉術とは思えない。1年後の東京五輪に向けた海外クラブとの交渉や、4年後、8年後に同じ状況で、日本協会は各クラブに「快く送り出そう」と思わせられるか。力量が問われる。【盧載鎭】