真奈(岩渕)の成長を感じた。3大会連続のW杯出場経験が、苦しい日本を救った。負けたら崖っぷちに立たされる一戦。勝ち点3が絶対必要だった試合で、貴重な先制点を挙げてくれた。W杯では3大会連続、ジョーカーとして途中出場が続いた。初戦のアルゼンチン戦も途中からピッチに立ち、そこで得た信頼で、初めて与えられたスタメンの機会をものにした。

18歳で出場した11年W杯ドイツ大会。真奈はチーム最年少で、甘えん坊だった。私は当時、同年代の丸山桂里奈と同部屋だったが、練習後に真奈は決まって部屋に遊びに来てくれた。部屋でゴロゴロして、時には一緒に寝たりと、なついてくれていた。ドイツのお菓子(ハリボー)を持ってきては「今日も一緒に食べましょう」とにっこり笑う。あの笑みで、練習の疲れが癒やされた。

そんな真奈が、スコットランド戦ではベテランとしてチームを引っ張った。最前線でドリブルを仕掛けることを好むが、2列目に下がって相手のプレッシャーを受けながらボールをキープして味方の攻め上がる時間を稼いだり、体を投げ出して守備もした。若手に「ドリブル仕掛けて」と大声で指示する場面もあった。自分のことだけでなく、攻撃陣のリーダーとしての自覚が芽生えた。

私はドイツで7年間プレーし、そのうちの4年半、真奈もドイツのホッフェンハイム、Bミュンヘンに在籍。所属チームは違ったが、感じたことは同じ。相手の激しいチェックに耐える、助っ人として結果を残すことなど、プレー面とメンタル面で成長した。ドイツのプレッシャーに比べ、スコットランドのチェックはそれほどきつくなかったはず。イングランドも、ドイツよりはきつくない。次も真奈がやってくれることを、私は確信している。(元なでしこジャパンFW、浦和レディース)