【サンパウロ(ブラジル)17日(日本時間18日)=岡崎悠利】レアル・マドリードへの移籍で注目を浴びる日本代表MF久保建英(18)が初先発し、フル出場でA代表戦の国際大会デビューを果たした。

南米選手権の1次リーグ初戦でチリに0-4と完敗。ほろ苦い一戦となったが、随所に光るプレーで、スペインの名門が認めた才能の一端を世界に披露した。一夜明けた18日、チームは20日(同21日午前8時)のウルグアイ戦に向け、試合会場のポルトアレグレに移動した。

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チーム最年少の18歳は懸命にゴールへ向かった。最大の見せ場は0-2の後半20分。左サイドでMF中山とのパス交換でペナルティーエリア内に入ると、DF2人の間を抜け出した。角度が少ないところから左足を振り抜いたが、シュートは外側のサイドネットを揺らした。

「言い訳をすれば、ボールが緩くて少しずれてしまった。決めていればこちらの時間に引き寄せられた。今でも悔しい」

両手でピッチをたたいて悔しがった。

試合の入りはよかった。久保は前半6分のFKを思い切って狙い、前半11分には中盤から長いスルーパスを出した。DFに間一髪のところで止められたが、持ち味である広い視野とそれを生かす技術を示した。そうしたチャンスを得点にできなかった日本と、ことごとく決めたチリ。特にフィニッシュの精度は3大会連続優勝を目指すチリが数段上だった。「向こうは攻撃のバリエーションがすごく多く、崩しがうまかった。対応しきれなかった」と力の差を認めざるを得なかった。

最初の失点直後やチリの選手が足を痛めて試合が止まった際、主将のMF柴崎とともに何度も主審と会話した。「早く試合を再開してほしかった」。2点、3点と差が開いても、諦めるつもりはなかった。

「結局チャンスを作れなかったり、球際で勝てなかったら意味がないです」

短い言葉に、チームを勝利に導けなかった自身への不満を込めた。

0-4という敗戦は高い授業料だが、得た教訓は大きい。

「ちょっと後ろでボールを回してもまったくダメだと思った」。パスも状況判断も、スピード感は相手が上だった。ボールを保持できない時間帯が続いた。その中で「チームとして積極的にシュートで終わることを、次から心がけたい」と次戦に目を向けた。

次の相手ウルグアイはバルセロナFWスアレス、パリ・サンジェルマンFWカバニとスター揃い。おそらく同組では最強だ。久保はフル出場したため次戦でのプレーは不透明だが、不可欠な存在であることを示した。

「自分は、ただ勝ちたかった」

海外メディアに対し、スペイン語でそう話した久保。若武者の南米での挑戦は続く。【岡崎悠利】