サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」が26日、福島・Jヴィレッジ(楢葉町、広野町)で行っていた強化合宿の最終日を迎え、練習後に取材に応じた高倉麻子監督(52)は東京五輪(オリンピック)へ向けたメンバー争いが激化していることを明かした。

約7カ月ぶりの代表活動となった今回の合宿ではDF熊谷紗希(30)をはじめ、MF籾木結花(24)やMF中島依美(30)ら19年W杯にも出場した中心選手がコンディション不良や負傷などの理由で選外に。代わってMF伊藤美紀(25)、塩越柚歩(22)、脇阪麗奈(21)の3人を初招集するなど、新たな風を吹き込んでの再スタートでもあった。

高倉監督は初招集の3人について「思った以上にどの選手も高いレベルでプレーできた。今回は常連と言える選手に呼べなかった人が多かったと思いますが、そこに引けを取るとは思っていません」とたたえた。今後については「選考が大変になるなと思いまして頭を抱えてしまって、これはうれしい悲鳴なんだなと思いました」と話した。

この日は午前練習のみを行い、ミニゲームなどで約1時間半、汗を流して合宿を打ち上げた。合宿を通じてフィジカルに勝る欧米勢を想定した守備の強化に重点を置いたが、指揮官は「守備的にやるつもりはない」とあくまでチームの土台作りだと強調。手薄だと感じているセンターバック(CB)には、19年W杯時にFWとして呼んでいた身長170センチの宝田沙織(20)を抜てき。直近はクラブでもCBを任されている20歳とはこの日の練習後も話し込む場面があった。高倉監督は宝田について「試合をこなすごとにパフォーマンスがよくなってきている。(合宿でも)思った以上でした」と期待を込めた。

コロナ禍以後では初めての代表合宿。最後の検査でも全員が陰性だったといい、感染者を出さずに19日からの8日間の日程を終えた。高倉監督は「この大変な状況の中で合宿ができたことを感謝したい。メディカルチームのみなさんにはご苦労さまと言ってあげたいです」と安堵(あんど)の表情もみせた。【松尾幸之介】