初招集のDF伊藤洋輝(23=シュツットガルト)が堂々の国際Aマッチデビューを飾った。

所属チームでは3バックの左が主戦場だが、前半は4バックの左サイドバック(SB)、後半頭から左のセンターバック(CB)に入った。後半14分にパスミスから失点を招くなど課題も出たが、左SBでは果敢なオーバーラップとブンデス仕込みの強さを発揮。DF長友、中山の左サイドバックの競争に割って入る勢いを見せた。

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伊藤はAマッチデビューの舞台で存分に持ち味を発揮した。左SBはジュビロ磐田、シュツットガルトで少し経験があった。前半34分。MF三笘を追い越し、ゴールラインまで上がりクロスを供給。同36分のFW浅野の先制点は、伊藤のロングフィードが起点だった。伊藤は「デビュー戦でしたけど、まわりの選手がボールを預けてくれて、サポートしてくれてうまく入れた」と振り返った。

188センチの長身と左足からのフィードを武器に、東京オリンピック(五輪)を目指した世代別代表ではボランチが主戦場。だが、20年に期限付き移籍した名古屋グランパスから磐田に復帰すると、当時のフベロ監督には3バックや左サイドバックで抜てきされた。レジェンドのMF遠藤保仁が加入したことで、最終ラインの楽しさに気付いた。「主導権が握れるチームのうしろは楽しい。ヤットさん(遠藤)に預ければ失わない安心感もあって、攻撃の組み立ての楽しさに気付いた。今は後ろが一番しっくりくる」。居場所を見つけた。

オーバーラップのタイミングや三笘とのコンビなど、本職のSBのような輝きも見せた。それでも、夢のW杯の舞台への手応えについては「まだまだ厳しい」と冷静だ。現状、35歳のDF長友が不動の左SB。伊藤は「経験と実績があり、クロスや攻撃のタイミングなど、すべて学ぶものがある」と敬意を表する一方、プレースタイルが異なることも分かっている。「1年間、ドイツでもやってきた。そこに関しては自信をもっていい」。自身の武器を発揮し、カタールへと突き進む。【岩田千代巳】

◆伊藤洋輝(いとう・ひろき)199 9年(平11)5月12日、静岡県生まれ。大型の技巧派ボランチとして中学時代から磐田の下部組織でプレー。高校3年の17年5月にトップ昇格。19年は名古屋へ期限付き移籍。20年に磐田に復帰しJ2で戦う。21年6月に一般女性との結婚とシュツットガルトへの移籍が同時に発表された。188センチ、81キロ。

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