日本1点涙…夢舞台初戦バティの一発だけ/復刻

1998年6月15日付日刊スポーツ1面

<日刊スポーツ:1998年6月15日付>

 プレーバック日刊スポーツ! 過去の6月15日付紙面を振り返ります。1998年の1面(東京版)はサッカーW杯フランス大会、日本がW杯に初めて出場した試合でした。

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<W杯:日本0-1アルゼンチン>◇1次リーグH組◇1998年6月14日◇フランス・トゥールーズ

 日本が世界の初舞台で大健闘した。W杯初出場の日本は、過去2度世界一の強豪アルゼンチンに挑戦。前半28分、FWバティストゥータ(29)に、不運にもゴール前のこぼれ球を決められ、0-1とリードされた。その後はGK川口能活(22)を中心に、気迫のこもった守備で猛攻を寸断。攻めてもMF中田英寿(21)を起点に決定的チャンスをつくった。日本サッカーの歴史的一戦で、最少失点に抑え込んでの惜敗。日本は20日のクロアチア戦で、初勝利を目指す。

 日本サポーター席から紙吹雪が舞った。90分間の激戦を終えた日本代表イレブンをやさしく包んだ。初出場のW杯。世界最高の舞台に立ち、強豪アルゼンチンと0-1。選手たちは悔しさをにじませたが、見守った日本人はみんな、心から拍手を送ったに違いない。1998年6月14日。日本サッカー界に永遠に残る一日にふさわしい試合になった。 「取られたのは仕方がない。でも、あと1点を取りたかった。選手は力を出してくれた」。岡田監督は試合後、厳しい表情で話した。善戦では納得しない指揮官の姿があった。「ある程度やれる自信はあった。結果を出さないと次にはつながらない。また一からやっていく」。アルゼンチン戦を終えた10分後には、次戦への反省を口にしていた。

 0-0の引き分けでも、おかしくなかった。前半28分、シメオネがオルテガに出したパスが、名波の右足に当たってゴール前のバティストゥータへ。この偶然のチャンスを決められて、先制を許した。この不運な1失点を除けば、89分間アルゼンチンの攻撃を完封していた。秋田は「点を取られたのは仕方がない。課題も見つかったし、次につなげたい」と話した。中西も「前半に1本だけバティにヘディングを決められたけど、それ以外は良かった」と自信を深めた。プレー中の城や川口には、笑みさえこぼれることもあった。W杯2度優勝の強豪国と対等に戦った日本イレブンの姿があった。

 W杯のデビュー戦で、金星を挙げることはできなかった。しかし、世界を驚かすことはできた。昨年11月にW杯初出場を決めてから7カ月。岡田監督は世界で戦うために、5月1日に戦術を決めた。FWまでもが守備の意識を高く持ち、ボールを奪ってから一気に速攻。山口は前半2分、両チーム初のシュートを放った。同14分には、名波のゴール前へのパスを相馬がヘディングシュート。流れの中で攻め立てた。

 最大のチャンスは、後半37分。山口が放り込んだクロスを秋田がヘディング。ボールは左ポストのわきを通過し、ネットを揺らせなかった。「あそこで入れられるかが問題。きっちり決めないと勝てない」。歴史的な一戦を1-1の引き分けで飾る可能性もあった。ただ防戦一方で、アルゼンチンのシュートを受けているわけではなかった。井原主将は「結果を出したかった。結果がすべて。あと2試合で結果を出す」と力を込めた。

 岡田監督も同じ気持ちだった。「引き分けか勝ちを狙った。W杯は、結果が一番大切なんです」。それでも、当初のプランは、着実に実現に向かっている。昨年11月の時点で、1次リーグ1勝1敗1分けという目標を立てた。この1敗をアルゼンチン戦と考えれば、まったく問題はない。「W杯という意識はなかった。アルゼンチンに勝ちたかった」。1勝を本気で狙っていた。20日のクロアチア戦で、もう一度W杯初勝利へ向けて走り始める。