ハリル監督が勝負手 香川先発外し トップ下に清武

ストレッチする香川(手前左)。同右は太田、後方左は山口、同右は清武(撮影・江口和貴)

 日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(64)が、明日6日のW杯ロシア大会アジア最終予選イラク戦でMF香川真司(27=ドルトムント)を先発から外す可能性が出てきた。日本代表は合宿3日目の4日、さいたま市内で非公開練習を行った。日本協会関係者によると戦術練習の主力組のトップ下にはMF香川ではなく、MF清武弘嗣(26=セビリア)が入った模様。結果次第では解任される可能性がある土俵際で、指揮官が勝負手に出る。

 ハリルホジッチ監督が勝負手に出る。さいたま市内での非公開練習では香川に代わって清武をトップ下で起用した模様。香川も、清武も所属クラブで今季のリーグ戦出場は同じ3試合。全員そろっての練習はわずか2日という状況で、コンディション面だけを考慮しての入れ替えとは言いがたい起用だ。

 香川は今季、ドルトムントで厳しい定位置争いが続いている。開幕戦こそフル出場したが、攻撃的MFでは4番手の扱い。代表では9月のUAE戦とタイ戦にフル出場したが、いずれも決定機を外すなど精彩を欠いた。9月29日のメンバー発表会見でハリルホジッチ監督は「(ドイツ代表の)ゲッツェやシュルレと競争し、狂ったように練習しないと、簡単に先発落ちする環境にいる」と、ドルトムントでの現状に理解を示していたが、ついに先発から外す決断をするようだ。

 香川が日本代表の主力となって以降、けが以外の理由で、W杯最終予選のスタメンから外れたことはない。W杯ブラジル大会に臨んだザッケローニ監督体制では、けがでベンチを外れた1試合と招集されなかった1試合を除いて6試合すべてに先発。定位置の左サイドから本田とともに日本の攻撃の中心を担った。ハリルホジッチ監督の下では2戦連続で先発。岡崎に代わって浅野が1トップに抜てきされたタイ戦でも先発フル出場した。それだけに先発外しは重い決断だ。

 9月の初戦のUAE戦で黒星発進したハリルホジッチ監督は土俵際に立つ。イラク戦とオーストラリア戦の結果次第では解任される可能性もある。9月29日の会見では「言い訳ではない」と言いながら、イラクの準備期間の長さを強調。「言い訳だ」と報道陣から指摘を受けると「皮肉な冗談だ」といら立つようにまくし立てた。

 最終予選の初戦を落としデータ上は「出場確率0%」。そんな状況から脱するための勝負手は、吉と出るのか、凶と出るのか。答えはイラク戦で出る。

 ◆香川のW杯最終予選 通算9試合2得点。19歳だった08年10月15日の南アフリカ大会最終予選ウズベキスタン戦で先発し初出場。岡田監督時代はこの1試合だけだが、ザッケローニ監督の前回ブラジル大会はケガ2試合を除く6試合すべて先発し2得点。ロシア大会は2戦ともにフル出場。前回大会以降、ケガ以外で先発を外れたことはない。