ハリル監督「GKは190センチ以上」ノイアー理想

ランニングする(右から)西川、シュミット、東口、浜野コーチ、中村、林、櫛引(撮影・前田充)

 日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(64)が「GKは身長190センチ以上」という厳しい指針を示した。17日、大阪・堺市内で3日間限定のGK代表候補合宿を開始。W杯アジア最終予選でB組3位に低迷する日本の指揮官は、去就問題の渦中にいる中でも18年W杯ロシア大会を意識。世界と戦う上で197センチのシュミット・ダニエル(24=松本)を初招集するなど、大型GKの育成に着手した。

 秋風が吹く夕暮れの練習場で、ハリルホジッチ監督が熱弁を振るった。招集した6人のGKを集めて円陣を組み、今合宿の方針を説明。選手がランニングを始めると、視察に訪れたJリーグ下部組織を含む育成コーチ15人を前に40分も持論を展開した。約2時間の練習後、今度は報道陣にも「ハリルGK論」を説いた。

 「これからは世界基準でやっていく。GKは190センチが基準。残念ながら身長がなければ、ハイレベルで戦うのは難しい。180センチ台でいい選手であっても(強豪国に)対抗するのはかなり難しい。現代フットボールは190センチないと、いいGKとは言えない」

 今合宿に参加したGK6人のうち、190センチ超は林と初招集されたシュミットの2人だけ。正守護神の西川は最も低い183センチ。今月のW杯予選に招集した西川、東口、川島の3選手はいずれも180センチ台だ。もちろん身長は努力して簡単に伸ばせるものでもない。フィールド選手に匹敵するほどの足元の技術で、攻撃の組み立ても要求した。

 「私の一番のGK革命はドイツのノイアー(身長は193センチ)。背後のボールにも対応し、リベロのような位置でボールをコントロールして(攻撃の)組み立てにも参加する。コミュニケーションも素晴らしい。(GKは)チームに精神力をもたらす存在。(選択を間違えると)悪い影響、不安定さをもたらしてしまうこともある」

 ハリルホジッチ監督には思い描く理想があるが、日本人に順応するかは不透明だ。最終予選は現在、2勝1分け1敗でB組3位。自らの去就問題も出ている。

 「日本は90%の海外組が(所属先で)先発ではない。聞きたくないと思うが。まだレベルがそこまでではない。これが厳しい真実。ここから怒りを込み上げ、強豪国に対抗するか。いいGKと点取り屋を育成しないといけない。GKが2回(ビッグ)セーブをし、点取り屋が1回点を取れば勝てる」

 ハリル流のサッカー論。だが、理想と現実には大きな隔たりがあるのも事実だ。【益子浩一】