ハリル監督CB昌子に託す 「保険」捨て次世代育成

ボール回しで競り合う香川(中央左)と昌子(同右)。左端は加藤、右端は本田(撮影・河野匠)

 「保険」を捨て次代の主力DFを育てる。日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(65)が6日、今日7日の国際親善試合シリア戦(味スタ)に向けた公式会見に出席。「無失点」をノルマに掲げた中、先発センターバック(CB)に昌子源(24=鹿島)を抜てきすることが確実となった。13日のW杯ロシア大会アジア最終予選イラク戦(テヘラン)以降を見据えて常連の森重を外しており、昌子の自立を促す舞台を用意した。

 ハリルホジッチ監督が、ネクスト森重に昌子を一本釣りした。これまで本田→久保、岡崎→大迫と攻撃の世代交代を進めてきたが、反対に手つかずだった守備の再編が6月のテーマ。公式会見で森重不在のCB陣について聞かれると、初代表の三浦に言及し「呼んだからといって明日すぐ使うわけではない」とベンチ止まりを示唆。一方で15年3月の初陣から定期的に招集してきた昌子については「常に呼んできた」と短く答えた。機が熟しての起用に余計な説明は無用だった。

 期待通り、冒頭15分以外非公開で行われた公式練習では、昌子が先発組に入って連係を確かめたという。鹿島と同じCBの左で起用され、吉田とコンビを組むと「(招集15戦目で)もう流れは理解してる。先発だとしても『やったろう』って変な気負いはない。普段、鹿島でやっていることを出せば結果は出る」と昨季J王者の自負を示した。

 国際Aマッチ出場2試合の昌子と、同73試合の吉田が同時に出場するのは初めて。経験差を不安視する声もある中、41試合の実績を持つ30歳森重という「保険」はない。逃げ道をふさがれてハリルホジッチ監督のテストを受ける形だが、望むところだ。「失点して『森重君がいなかったから』と言われるのは悔しい。監督がこだわる無失点で2試合を終えたい」と燃えた。

 昨年12月のクラブW杯決勝。Rマドリード(スペイン)のFWロナルドを1対1で止め、ブレーメン(ドイツ)など海外から興味を示される存在になった。それでも「(2日前の)欧州CL決勝を見れば、あの時のレアルが本気じゃなかったことは分かる。彼らと真剣勝負ができるW杯の舞台に立ちたい」。そのための第1歩をシリア戦で踏む。

 先発は15年3月ウズベキスタン戦以来2年ぶり2度目。会場は同じ味スタだが「レベルは上がっている」と強調した。鹿島と同じ3番を背に、新陳代謝の“源”動力になる。【木下淳】

 ◆昌子源(しょうじ・げん)1992年(平4)12月11日、神戸市生まれ。元神戸ユース監督の父力さんの影響でサッカーを始める。G大阪ジュニアユース-米子北高から11年に鹿島入り。14年に定位置をつかみ16年にはベストイレブンに選出され、クラブW杯で決勝Rマドリード戦でも存在感を示す。国際Aマッチは2試合0得点。昨年10月に結婚。182センチ、74キロ。愛称「ゲン」。