ハリル日本に軍警護30人 テヘランで7日同時テロ

イラン入りしランニングするサッカー日本代表(撮影・江口和貴)

 【テヘラン9日】サッカー日本代表は9日、W杯ロシア大会アジア最終予選B組のイラク戦(13日)が行われる当地に到着した。イラクの政情不安による中立地での開催だが、7日に起きた同時テロの影響で厳戒態勢の中、約1時間15分の練習で調整した。夕方でも気温37度ほどの暑さ。イラクも含めて“敵”は多い。

 日本代表の練習は厳戒態勢の中でスタートした。テヘラン近郊のスタジアム。午後5時すぎ、選手の乗ったバスは前後を治安維持軍にガードされて門をくぐった。入り口付近にはパトカー6台。ライフル銃を持った4人が鋭い目を光らせていた。私服で警戒に当たる軍関係者も含め計30人が不測の事態に備えた。スタジアム関係者は「一昨日のこと(テロ)があり、最高レベルの警備態勢です」と説明。バスがスタジアムに入るとすぐに門が閉められた。

 7日に市中心部で同時テロが起きたことを受け、在イラン日本大使館は地元警察当局に、試合や練習などの警備態勢を通常よりも拡充させるよう要請したという。日本代表の宿舎も含めて警戒が強められた。

 練習開始の6時間ほど前、日本代表が到着した空港の出国フロアにつながるドア付近では、銃を肩にかけた軍の男性が警戒していた。このフロアへの一般客の車でのアクセスは前日8日から禁止され、バリケードで通行が遮断された。日本代表はスムーズに移動したが、テヘランの玄関口は物々しい雰囲気。中心部へとつながる高速道路では身分確認のため、外国人が乗るタクシーを停車させている光景も。惨劇の現場には黒い旗がたなびいていた。

 日本から約17時間かけてたどり着いたテヘランは酷暑だった。真っ先に出国審査を終えた本田はいつものサングラスをしていなかったが、屋外に出ると選手全員にサングラスが必要なほど日差しが強い。イラク戦の開始は午後4時55分。市民は「夕方でも35度を超える」と言い、この日の練習で使用したスタジアムの気温は37度近かった。ハリルジャパンで3度目の遠征だが、過去2度は9月と10月でここまで暑くはなかった。標高約1200メートルの高地で空気が乾燥している。日本のような、まとわりつく不快感はないが、少し動くと喉が渇く。ほこりっぽいからなおさらだ。

 8日には同じB組のオーストラリアがサウジアラビアに競り勝ち、三つどもえの状況は変わらず、首位の日本には必勝が求められる。中立地とはいえ、地の利は隣国のイラクにある。猛烈な暑さや治安の不安とも闘いながら、ハリルジャパンは真の力を試される。