ハリル監督、原口トップ下、本田右のウルトラC布陣

イラク戦の前日会見で胸に手をやるハリルホジッチ監督(撮影・江口和貴)

 【テヘラン12日】日本(FIFAランク45位)のバヒド・ハリルホジッチ監督(65)が、ウルトラC布陣で王手をかける。W杯ロシア大会アジア最終予選でB組首位の日本は今日13日、イラク(同120位)と対戦する。引き分け以上なら次戦で6大会連続出場が決まる可能性がある一戦で、不動の左FWだった原口元気をトップ下へ配置転換することが濃厚。負傷者が相次いだ中盤の構成を改造する。本田圭佑は右FWで5試合ぶり先発が有力になった。この日は会場で最終調整した。試合はイラクの政情不安による中立地開催。

 予定より5分早く試合前日の会見場に現れたハリルホジッチ監督は、手を4回たたき「始めよう。時間がないんだ」と開始を前倒しした。38度超の猛暑に「プールやビーチにいる方が気持ちいい」と冗談を飛ばしつつ「我々の難しさは中盤にある。長谷部と香川がおらず(山口)蛍も今野も少し問題がある。清武も来ていない」と自ら不安点を挙げ、会見後はミーティングへ走った。

 1秒でも惜しい理由がある。口にした「中盤」の改造に苦心しているからだ。仮想イラクの7日シリア戦はMFに今野、香川、山口を送り込んだが、香川は右肩を脱臼し、山口は右すねを打撲。今野も左足骨折からの病み上がりだ。壊滅状態、だからこそ大胆になれたのか。関係者によると原口をトップ下で起用する案が浮上した。昨年、左FWで史上初の最終予選4戦連発を遂げた男を中央に動かして、並びもトップ下とダブルボランチの形に変える。

 ハリルホジッチ監督は「最近2回の(非公開)練習では素晴らしい戦術トレーニングができた。いい現象が見られた」と納得したようで、ボランチには、シリア戦で名前を挙げて褒めた井手口の国際Aマッチ初先発を考えているようだ。「強い覚悟を持った勇敢な選手、自信を持って能力を出し切れる選手が必要」。チーム屈指の運動量を誇る原口と、リオ五輪で球際の強さが際立った井手口。指揮官のイメージに合った2人に窮地からの脱却を託す。

 前線もメスを入れる。本田を右FWで5戦ぶりに先発起用し、新エース久保は左FWに回す。本田はシリア戦の後半18分から中央の攻撃的MFに入って攻撃を活性化したが、まずは本職で起用されるという。これでMFとFWの先発6人中、1トップ大迫を除く最大5人のポジションがシリア戦から入れ替わる。イラクには通算7勝2分け3敗。引き分け以上でロシア行きに王手の一方、土をつけられれば3位転落もあり得る一戦で大ばくちを打つ。【木下淳】