アジア不敗の大迫、猫背矯正し苦手の頭で先制弾

前半、日本は大迫(左から2人目)のヘディングシュートが決まり、先制する(撮影・江口和貴)

<W杯アジア最終予選:日本1-1イラク>◇B組◇13日◇イラン・PASスタジアム

 FW大迫勇也(27=ケルン)が、前半8分に先制ヘッド弾を決めた。FW本田圭佑の右CKをニアサイドで合わせ、勝ち点1獲得に貢献。センターフォワードに据えるハリルホジッチ監督からの信頼を確固たるものにした。日本代表の出場試合ではアジア勢に対し6勝4分け。「アジア不敗男」の本領も発揮し、混戦のB組を勝ち抜くゴールを奪い続けるしかない。

 FW大迫が貴重な1ゴールを挙げ、ほえた。前半8分、本田からの右CK。ニアサイドに走り込むゴール前の嗅覚。頭で合わせて逆サイドのネットを揺らした。代表通算6点目は、W杯アジア最終予選初得点となった。昨年11月11日の親善試合オマーン戦以来、2度目のヘディング弾。「いいボールがきたので、当てれば入るかなと思った。イメージ通り」。仲間に祝福され笑みがはじけた。

 鹿児島城西高3年時には高校選手権で「半端ねえ」10得点を挙げたストライカー。だが「頭で決めた記憶がない」と、実は苦手だった。鹿島入り後には居残り練習で克服を開始。DF内田にクロスを上げてもらい、DF役は岩政。日本代表でもクロスとヘディングのスペシャリストに英才教育を受けた。

 ドイツ移籍後は猫背を矯正して打点も高くなった。腹筋と背筋のバランスを、周囲の意見も取り入れながら筋力トレーニングで改良。背筋が伸びることで視野も広がった。今季のケルンでも屈強なDF相手に頭でも1得点。ポストプレーや両足からのシュートだけでない、新たな得点源。世界の強豪に挑む日本にとって、オールラウンドFWの存在感は際立っている。

 先発した14年ブラジルW杯ではコートジボワールに1-2。ギリシャには0-0。無得点の責任をロシアで借りを返したい気持ちは人一倍強い。この日も、後半20分にゴール前での好機を外し「悔しい。結果が大事なんで」と唇をかんだ。

 出場試合ではアジア勢には10戦して1度も負けていない。「次はホームでできる。次こそが大一番」。自らに言い聞かせた。“猫”から背筋の伸びた闘犬へ。大迫の“ワン”ゴールが、W杯出場王手を導く勝ち点“ワン”をもたらした。【鎌田直秀】