初招集杉本健勇が日本の秘密兵器「2年前から追跡」

練習後、少年ファンらに囲まれ笑顔を見せるC大阪FW杉本(撮影・実藤健一)

 ハリルジャパンの秘密兵器だ! W杯アジア最終予選オーストラリア戦とサウジアラビア戦の日本代表に今季リーグ2位14得点のセレッソ大阪FW杉本健勇(24)が抜てきされた。事実上の代表初選出だが、ハリルホジッチ監督が「2年前から追跡していた」と期待する大型ストライカー。直近のリーグ戦7戦8発の卓越した決定力が、大一番で新たな武器となる。

 夢がかなった。「国を背負って戦いたい」。杉本が何度も口にしてきた言葉だ。それが現実となる。しかも、W杯出場が懸かる大一番で同予選初選出。杉本はクラブを通じ「日本代表に選ばれ、うれしく思います。自分の持っている力を日本代表のために出して、いい結果を残せるよう頑張ります」とコメントした。

 ハリルホジッチ監督が満を持して呼んだ。「2年前から追跡していた」と言い「質が高く、体格もある、珍しいタイプ。進化もしている」と高く評価する。現在J1得点ランク2位の14ゴール。特に最近7試合で8ゴールの絶好調ぶりが買われた。今回、代表復帰した柴崎らと同じ92年生まれで「プラチナ世代」と呼ばれた1人だ。15年5月の国内組の日本代表候補合宿に参加しているが、事実上の代表初選出。いきなり決定的な仕事をこなす秘密兵器となる可能性は十分にある。

 その魅力的な決定力は、抜群の位置取りから生まれる。前節の磐田戦も一瞬の動きで相手DFの前に出て、水沼のクロスを右足でたたき込んだ。尹晶煥監督の下でセンターフォワードに固定され、磨いてきた技術。「ゴール前に入る、一瞬のところを意識してやっている」。練習での取り組みが結果に結びつく。

 ハートも熱い。J2の昨季は肋骨(ろっこつ)を折りながら、昇格がかかった正念場で試合に出続けた。この日も選出前の練習後に「(代表での)イメージとかコンビネーションとか、そんなこと言ってる場合じゃない。気持ちの部分が大事になる」と意気込んでいた。クラブでは、先輩にも遠慮なく自分の意見をぶつける熱血漢。熱い魂が、サムライの新たな血となって流れる。【実藤健一】

 ◆杉本健勇(すぎもと・けんゆう)1992年(平4)11月18日、大阪府生まれ。C大阪の下部組織で育ち、10年7月にプロ契約しトップ昇格。東京V-C大阪-川崎Fを経て昨季C大阪に復帰。12年ロンドン五輪日本代表。川崎F時代の15年5月に国内組の日本代表候補合宿に参加。187センチ、79キロ。今季は現時点でJ1得点ランク2位の14ゴール。