本田、香川スタンド危機 攻撃的役割で序列最下位

厳しい表情でメンバー発表を行うハリルホジッチ監督(撮影・狩俣裕三)

 日本サッカー協会は24日、W杯アジア最終予選のオーストラリア戦(31日、埼玉スタジアム)とサウジアラビア戦(9月5日、ジッダ)に臨む日本代表を発表した。W杯出場のかかる運命の一戦に向け、バヒド・ハリルホジッチ監督(65)は登録の23人より4人も多い27人を招集した。登録が23人になった02年以降、同予選では最多。オーストラリア戦に引き分け以下で解任の可能性もある指揮官が、歴史的な大量招集でW杯を決めにいく。

 W杯出場と同時に、自身の進退もかかるハリルホジッチ監督が27人も選手を呼んだ。「この試合では、サムライになってもらわないと」。登録は23人だから4人がベンチ外。スタンド観戦で刀を抜く機会がなくなることも承知の上。サムライは27人に膨れ上がった。

 ほとんどの選手を知らなかった15年3月の初陣で31人を呼んだが、あくまで国際親善試合だった。今回は勝負の最終予選。けが人続出の状況で「手元に置いて、状態や可能性を見るために呼ぶ」と万全を期した。

 FWとトップ下、4つの攻撃的ポジションに12人。1-1で引き分けた昨年10月のアウェー戦では守備的にいったが「今度はホーム。さらに意欲的に、より攻撃的な姿になる」。それでも12人を使うことはできない。ここには、けがから復帰して間もない本田、香川と実戦復帰がまだの大迫がいる。3人は不安を抱えてやって来る。香川と本田は長く代表に君臨してきた。その両エースのメンバー外しもあり得る。その可能性に触れる発言もあった。

 香川について「状態を直接見て、どうするのか決めたい」。本田にも「直接見て、どんな役割を与えるのか考えたい」とクエスチョンマークをつけた。そして「今(代表チームが)紡いでる物語は、1人、2人の選手のものではなく、このグループがW杯に進む物語」。エース2人を特別扱いしないことを示唆した。

 メンバー発表のポジション別の記載順は、そのまま現時点での序列を示すのがハリル流。本田は右FW、香川はトップ下で最下位の3番目。悩み抜いた末、最後に加えた追加メンバーの可能性も。このままの状態ならスタンド観戦組となっても不思議はない。象徴的存在をスタンドに送ることも辞さずの構え。なりふり構わず勝ちにいく。

 去就をめぐる報道には「私を批判したいのならW杯に進んだ方が、その機会がある。その方がいいだろう」「こういう状況が好き。攻撃されればされるほど、批判が多ければ多いほど、私は強くなる」と言った。このたくましさを信じたい。会見場を出る指揮官は「アレ ニッポン!(さあ行くぞ、日本)」と号令をかけた。【八反誠】