本田圭佑「今日は俺じゃない」世代交代鮮明に

日本対オーストラリア 控えだった本田(左)を抱き寄せて話しかけるハリルホジッチ監督(撮影・狩俣裕三)

<W杯アジア最終予選:日本2-0オーストラリア>◇B組◇8月31日◇埼玉

 日本代表が、世代交代の分岐点を明確に迎えた。16年リオデジャネイロ五輪代表のFW浅野拓磨とMF井手口陽介のゴールでW杯出場決定。一方で08年北京五輪世代のFW本田圭佑、MF香川真司が公式戦では初めてベンチ入りしながら不出場だった。この日、出場した選手も口々に新時代の到来を予測した。

 長く北京世代が支えてきた日本代表に、若きリオ世代が風穴をあけた。22歳の浅野が先制し、21歳の井手口がダメを押す。終盤には、3月の最終予選で2得点3アシストの23歳FW久保が投入された。歓喜後、報道陣の黒山に囲まれた若手を横目に、本田は「今日は俺じゃない」。一言だけ答え、主役の後輩を立てた。

 W杯出場が決まったピッチに本田、香川の2枚看板がいなかった。2人そろってベンチ入りしながら不出場だったのは、昨年6月7日のキリン杯決勝ボスニア・ヘルツェゴビナ戦(1-2)以来2度目。W杯最終予選などの公式戦では史上初だった。歴史の転換を象徴する試合になった。

 30代に差し掛かった屋台骨を20代前半が突き上げる-。新陳代謝を主力組も認めた。10番を背負う香川が「あれだけの刺激をリオ世代がくれたので。僕らも活躍しないと代表に残れない」と言えば、現役最多50得点のFW岡崎は「新たな時代に入ったことを強く感じた最終予選だった」。DF吉田は「新しい選手が乗っ取ろうとポジション争いすることがチームのプラスになる」と競争を歓迎した。

 リオ五輪で監督し、現在はA代表の手倉森コーチも「ロンドン世代の台頭は当たり前。リオ世代が出てきてこそ世代交代」と、かねて強調してきた。その現象を目の当たりにしたDF長友は「若手がベテランを悔しいと思わせ、新たにスピードなどの武器を持ち込んだ。これから新たな日本代表が確立されるかもしれない」とロシアへ新たな息吹を感じ取った。【木下淳】

 ◆本田と香川がそろってベンチ入りも不出場 16年6月7日のキリン杯決勝ボスニア・ヘルツェゴビナ戦(1-2)以来2度目。W杯最終予選などの公式戦では今回が初。