ハリル監督初の全員テスト!海外組もサバイバル

ニュージーランド戦の前日練習に臨んだ日本代表イレブン(撮影・河野匠)

 初の「全員起用」がある…かもしれない。日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(65)が5日、愛知・豊田市内で今日6日の国際親善試合ニュージーランド戦に向けた前日会見に出席。「6」ある交代枠を10日のハイチ戦も含めて2試合とも使い切ると明言し、今回招集された全24選手に出場機会が出てきた。W杯に初出場した98年以降、国内組だけの試合では全員起用が2度あったが、海外組も含めれば初。ロシア大会出場決定後、最初のテストマッチは横一線の争いとなる。

 実現すれば真のサバイバルだ。最終予選を終え、8カ月後に迫るW杯へのリスタート。ハリルホジッチ監督は「W杯は素晴らしく美しいが、危険と高い要求を伴う。準備に失敗すれば後悔、不満、屈辱を味わうことになる」と心構えを説いた。続けて、今回の親善試合2戦について「スタメンは同じにならないし、2試合とも6枠ある交代枠を使い切りたい。機会を生かしてほしい」と招集した24人の競争を促した。

 その言葉に最も説得力を持たせるとしたら、98年以降、海外組も含めた“フル代表”では初となる、招集選手の全員起用しかない。1試合で最大17人が出られるため数字上は可能、かつ過去14度の招集機会のうち6度は20人以上を起用した実績がある指揮官だから期待せずにはいられない。初陣の15年3月もフィールドプレーヤー全員となる計27人を起用し、横一線を強調した。今回はW杯出場決定後の仕切り直しシリーズ。競争をあおり、戦力を見極めるため、全員をピッチに送っても不思議ではない。

 ネックとなるのが3人いるGKだが、指揮官は先月28日のメンバー発表で2番手の東口の起用を示唆。2戦目ハイチ戦の先発が確実視される。今日のニュージーランド戦は正GK川島が先発するが、股関節痛が癒えたばかり。2試合のどちらかで第3GK中村にも出番が来る可能性が、普段以上にある。今年3月には「第3GK」と決めていた川島を大事な最終予選で先発復帰させた。前例がある。

 朗報も背中を押す。左太もも裏を痛めて別メニュー調整が続いていたFW原口がこの日、豊田市内の病院で精密検査を受け、患部に内出血がなかったことが確認された。ニュージーランド戦こそ欠場するが「まだ可能性がある。そこ(10日ハイチ戦)へ向かいたい」と、離脱どころか出場志願。「全員起用」の可能性が残る強運もあった。

 「45分だけの選手もいる」とも言い切り、不動の長友や吉田のバックには、国際Aマッチ出場0の車屋と植田が控えている。ニュージーランド戦の“ニュー(新)戦力”発掘と、続くハイチ戦の“配置”が楽しみになってきた。【木下淳】

 ◆招集選手の全員起用 初めてW杯出場を決めた98年以降、国際Aマッチ招集メンバーの全員起用は過去に04年2月と05年7月東アジア杯の2度ある。いずれも国内組の招集で、ジーコ監督だった。