ハリル監督多く選んで直前カットも カズの悲劇再び

W杯選考の予想される流れ

 日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(65)が、W杯(ワールドカップ)ロシア大会のメンバー発表を2段階方式にするプランを検討していることが2日、分かった。5月中旬に予備登録メンバー35人を選び、20人台に絞った上で同30日の国内最終戦キリンチャレンジ杯へ。結果を見て23人を決める腹案があるという。2回に分けるケースは98年フランス大会の岡田監督以来。「外れるのはカズ、三浦カズ」級のドラマが生まれるかもしれない。

 ロシアに行く運命の23人が、2段階に分けて発表される可能性が出てきた。国際連盟(FIFA)はW杯の予備登録メンバー35人(前回から5人増)提出期限を5月14日に設定。最終登録23人の締め切りを6月4日と通達している。日本は過去4大会、予備登録の段階で23人まで絞って発表してきたが、ハリルホジッチ監督は最終期限まで粘って陣容を見極める意向を持っているという。

 前例がある。4年前、アルジェリアを率いて14年W杯ブラジル大会に出場した指揮官は、まず5月12日に予備登録メンバー30人を発表。そこから1人多い24人として合宿に入り、同31日にアルメニアとの親善試合に臨んだ。結果を踏まえ、6月2日に主力MFゲディウラを外して23人に絞り込んでいる。前回大会優勝国のドイツや前々回Vのスペインも2段階を採用しており、世界の流れでもある。

 そして今回。5月14日の1次期限までに23人を決めなければ、同19、20日のW杯前最後のJ1リーグ戦まで視察可能。海外組の状態も、21日から東京近郊で始める予定の国内合宿で把握できる。30日のキリンチャレンジ杯(相手未定)も「壮行試合」ではなく「最終試験」と位置付けられる。

 2段階方式の発表で思い出されるのは、W杯に初出場した98年の第1次岡田ジャパンだ。「外れるのはカズ、三浦カズ」の落選劇は社会現象になった。以来、4大会連続で23人を1度で発表してきたが、20年ぶりに“復活”すればサプライズの予感も大きく膨らむ。

 23人の発表は壮行試合の直後か、翌日か、直前合宿先の欧州か-。この日、再来日したハリルホジッチ監督は「直前まで全員が決まることはない」と2段階の導入を示唆したが、選手間に競争が生まれる一方、その勝負に追われて疲弊する懸念もある。従来通り5月中旬の一発発表の道も残しながら議論を深めていく。

 ◆カズ落選VTR(98年フランス大会) 5月7日にまず25人を発表しキリン杯などを経て、開幕まで約1週間の6月2日に直前合宿地のスイス・ニヨンで岡田武史監督が代表メンバーを最終登録の22人に絞り込み、外れる3人を発表。アジア予選突破の立役者ながら、調子を落としていたFWカズ(三浦知良)、MF北沢豪、DF市川大祐が落選。「外れるのはカズ、三浦カズ」という同監督の言葉がクローズアップされ、社会現象に。カズと北沢はチームに同行せずミラノに立ち寄り、5日に帰国。髪を金髪に染めて帰国したカズは「日本代表の誇り、魂みたいなものは向こうに置いてきた」という名言も残した。