当落線上の本田圭佑にハリル監督が望む5つの条件

ベルギー遠征のメンバー発表会見でハリルホジッチ監督はFWで本田の名前を読み上げた(撮影・小沢裕)

 日本サッカー協会が15日、都内でベルギー遠征の日本代表メンバー26人を発表し、FW本田圭佑(31=パチューカ)が昨年9月5日のワールドカップ(W杯)アジア最終予選サウジアラビア戦(ジッダ)以来、6カ月ぶりに復帰した。ただ、かつて絶大な信頼を寄せたバヒド・ハリルホジッチ監督(65)は会見で「このチャンスをつかんでほしい」と発言した。23人のW杯最終メンバー入りへの“ラストチャンス”。生き残りをかけ、23日のマリ、27日のウクライナとの2試合で、猛アピールが必要になる。

 本田が半年ぶりに復帰した。ただ、立場は依然厳しい。「集大成」と位置付けるロシアへの道は、切り立った崖を進むような細い細い道。足を踏み外せば終わりだ。厳格で頑固な指揮官のもと、23人のW杯最終メンバーを争う。最後の競争に参戦できたにすぎない。

 悩んで選んだハリルホジッチ監督は、ここ1カ月ほど本田についての質問に過剰反応。その扱いに少しナーバスになっているようにも見えた。会見で、いの一番に出た本田への質問にこう答えた。「圭佑はこのチャンスをつかんでほしいと思っている」と。

 チャンスをつかみ取れ-。かつて、所属クラブでまったく出番がなく事実上の構想外のような状態でも特別視していた。約1年前のメンバー発表では「試合に出ていなくても、今の代表は本田を必要としている。彼の存在が大事です」とまで言っていた。

 だが、今はもう違う。本田自身もそう認識する当落線上の候補選手の1人。豊富な経験と周囲を巻き込む力、そして勝負強さを持つまれな存在だが、ハリルホジッチ監督にとって、ひとつのコマでしかない。

 それでもいい。確かに本田は特別視されることを好むが、そうでなければ働かないような人間ではない。成り上がりこそが、生きざまでもある。2大会、8年前にも同じような道のりを歩んでいる。MF中村俊輔が君臨していた代表で結果を出し岡田監督(当時)を納得させ、同じ3月からのスパートで本大会の主役になった。ひとつのゴール、アシストがどれだけ大切かも知る。所属のパチューカでも、18年はリーグ11試合で4得点5アシストと結果を出している。

 指揮官からの注文は多い。<1>得点<2>アシスト<3>守備<4>戦術遂行<5>DFライン裏への飛び込み…。特に「FWに関して言えば得点を取る、取らせること。ただ、いつも(中盤に)下りてきて、足元でボールをもらうのはダメ。背後に飛び込んで欲しい」と、決して得意ではないプレーも指示された。やるしかない。ロシアまでたどり着くことが目標ではないがベルギーの2試合が、本田のサッカー人生と、日本代表の行く末を大きく左右する。【八反誠】