中島翔哉デビュー弾 W杯イヤー初戦ゴールで本戦○

後半、同点ゴールを決め、両手を広げて喜ぶ中島(撮影・江口和貴)

 日本代表初招集のFW中島翔哉(23=ポルティモネンセ)が、初出場初得点でチームを救った。マリ戦の後半ロスタイムに同点ゴールを決め、1-1の引き分けに持ち込んだ。6月開幕のワールドカップ(W杯)ロシア大会の1次リーグで対戦するセネガルを想定した一戦で結果を残し、本大会メンバー入りを猛アピールした。FIFAランキングは55位の日本に対し、W杯出場を逃したマリは67位。日本は27日にウクライナと対戦する。

 敗色濃厚の日本を新顔が救った。初代表の中島だ。「どんどん前へいってドリブル、パスで仕掛けろと監督から言われた」。0-1の後半15分にデビューすると、土壇場のロスタイム3分に主役に躍り出た。3人抜きのドリブルからゴール前のFW小林へパス。シュートのはね返りがMF三竿に渡った瞬間、信じてペナルティーエリアに走り込んだ。フリーで右からのクロスを待ち受け「三竿がいいボールをくれたので触るだけだった」。丁寧に左足のインサイドで押し込んだ。

 リオ世代最多の通算19得点を誇る男が、初のA代表でも結果を出した。海外組の国際Aマッチ初出場初得点は初めて。出場約30分間のラストプレーで結果を残し、W杯のセネガル戦を想定した中で記録を刻んだ。「みんなに(祝福の)声をかけてもらった。負けなかったこと、得点は良かった」と頬を緩めたが「2点を狙っていた。次も続けないと」と負けん気も示した。

 ハリルホジッチ監督が「ショウヤ、ショウヤ、ショウヤ」と叫びボールを集めさせたほど存在感を見せ、会見で「唯一ポジティブなこと」と言わしめた。招集材料となったのはポルトガル1部ポルティモネンセでの今季9得点7アシスト。クラブ関係者も活躍を確信していた。元浦和MFで、昨年から強化責任者を務めるポンテ氏は「シュートがうまく知的にゴールへ向かえる、欧州にも少ないタイプ」と絶賛。同国で計10度の1部昇格を誇るオリベイラ監督も「フィニッシュが武器。絶対にW杯へ連れていった方がいい」と太鼓判を押していた。その中で中島も「ポルトガルで狙っている形をそのまま出せたゴール」と、異国での成長を代表に持ち込んだ。

 W杯イヤー初戦の得点者は過去8人(若手主体の10年除く)で、全員が本大会メンバーに選ばれている。16年リオ五輪で10番を背負った23歳が、彗星(すいせい)のごとくW杯メンバー争いに食い込んだ。それでも「まだ1試合。また明日からしっかりやらないと。W杯は今日の試合より厳しくなる」。救世主になるか。164センチの目線は27日のウクライナ戦、そしてロシアへ向けられた。【木下淳】

 ▼W杯イヤー初戦でゴール 日本が初めてW杯に出場した98年から過去5大会で、シーズン初戦で得点は9人。若手主体で臨んだ10年のアジア杯予選イエメン戦でハットトリックを達成したFW平山を除くと、8人すべて同年のW杯本大会でメンバー入りしている。