なでしこ、豪州とW杯かけ大一番「十分勝てる相手」

日本対韓国 スコアレスドローに終わり、韓国の選手とハイタッチする日本の選手たち(撮影・浅見桂子)

 【アンマン=松尾幸之介】なでしこジャパン(FIFAランク11位)が、19年女子ワールドカップ・フランス大会予選を兼ねたアジア杯の1次リーグ第2戦の韓国戦(同16位)で0-0と引き分け、8大会連続8度目のW杯出場権獲得はお預けとなった。これで1次リーグ2試合を終え、日本はオーストラリアと勝ち点4で並ぶ2位。上位2チーム以内の決勝ラウンド進出争いからベトナムが脱落し、韓国を含めた三つどもえの戦いとなった。13日にW杯出場権と1次リーグ突破をかけ、勝負のオーストラリア(同6位)戦に臨む。

 ライバルに痛い引き分けで、W杯出場は最終戦までもつれ込むことになった。前半は韓国の速い攻撃の前に、受け身に回った。後半は相手の足が止まって主導権を握るも決定力を欠いた。高倉監督は「前半の危ない場面を耐えられたのはチームの経験値になる。後半は悪い流れに耐えながら少しずつ自分たちのペースで試合を運べた」と手応えも口にした。

 この引き分けで1次リーグB組の上位争いは混沌(こんとん)としてきた。日本は13日の最終戦で勝てば4強入りしW杯出場が決まるが、負ければ最後の1枠を懸けたA組3位との5位決定戦に回る可能性もある。最後の相手は直近の2試合で負けている世界ランク6位のオーストラリアだ。高倉監督は「非常に力がある。難しい試合になる」と険しい表情で語った。その一方で、「試合に対して恐れることはない。持っているものを出し切れば十分に勝てる相手。平常心で戦いたい」と言い切った。

 この日、日本は当初予定していた練習をとりやめ、全選手をホテルでのリカバリーに専念させた。初戦のベトナム戦から中2日で2試合をこなし、疲労はピークに達しつつある。しかし前回覇者、そして前回W杯準優勝国のプライドもある。韓国戦で相手の肘打ちを受けて顔面から出血しながらもフル出場したFW岩渕は「(次戦は)勝つしかない。全員ですぐ準備をして切り替えていきたい」と闘志を燃やす。なでしこの誇りを胸に最終決戦に臨む。

 ◆日本のW杯出場確定条件 オーストラリアに勝てば無条件で1位通過決定。引き分けると、同時刻開始の韓国-ベトナム戦の結果次第となる。韓国勝ちの場合はオーストラリアとともに3チームが勝ち点5で並ぶが、続く順位決定方式は(1)当該チーム間の勝ち点(2)同得失点差(3)同総得点(4)グループ全試合の得失点差(5)同総得点の順。日本が1点以上を取って引き分けると、(3)の差で日本は韓国を上回り、自力で出場権獲得。0-0で引き分けの場合は、韓国が勝っても3点差以下なら出場が決まる。日本負け、韓国勝ちの場合は5位決定戦でA組3位と最後の1枠を争う。

 ◆アジア杯 A組(ヨルダン、中国、タイ、フィリピン)とB組(日本、韓国、オーストラリア、ベトナム)の2組に分かれ1次リーグを戦う。各組上位2チームが決勝トーナメントに進み、W杯出場権を獲得。1次リーグ3位チームは5、6位決定戦を行い、勝者もW杯切符を得る。