西野新監督、ハリル氏と選手のギャップは「感じた」

サッカー日本代表監督就任会見に臨む西野新監督(撮影・江口和貴)

 サッカーワールドカップ・ロシア大会の日本代表監督に就任した西野朗新監督(63)が12日、都内のJFAハウスで会見を開いた。

 西野監督は質疑応答の中で、田嶋幸三会長(60)が9日に開いた会見の中で、バヒド・ハリルホジッチ監督(65)の解任に至った、選手とのコミュニケーション不足、摩擦がベルギー遠征のウクライナ戦後の状況悪化が解任の決定打になったと説明した件について、サポート役の技術委員長だった立場から、何が1番の問題として見ていたかなどと問われた。

 西野監督は「(ハリルホジッチ前)監督の選手、チームに対する要求というのは、やはり世界基準。世界、ワールドカップで戦うには、こういう戦い方をしなければいけないということを強く選手に要求した。当然なことですし、それに対する戦術的なところ、選手の役割も厳しく要求した。それは指導者として当然なこと」と前監督の指導を評価した。

 一方で「それが全体として形になっていくことが、チーム力を向上させていくのに間違いなく必要なこと。それに選手たちが応えてプレーしようとする…ただ、監督は、それを高い基準で選手に求めていくところは感じました。監督の意図と、選手のやらなければいけない、やりたいというプレーの非常に(大きな)ギャップを、合わせていくの(必要)がチームとしてあった。その上でのやりとりがある」と、ハリルホジッチ前監督の求める世界基準と、選手との間にギャップがあったことを認めた。

 さらに「自分自身が、やはり選手たちの気持ち、心理状況は監督にも伝えて、日本人選手たちのDNAの中でやれる部分はもっとあるし、違う部分だという点(ハリルホジッチ前監督と選手の)間に入りながら構築していく…そのギャップが成果として出ないと、なかなか埋められない」と、ハリルホジッチ前監督と選手との間にギャップがあったこと、選手がやりたいことも技術委員長として伝えたことも吐露した。

 その上で「選手が追いつこうとしても、要求に応えられないというところは感じました。まだまだ、選手たちにはそういうことに応えられる力があると思いますし…その先に、高い要求があったのかも知れないですけど、常に現状、チームとしてバランス良く機能していたかというと、わずかな差があったんではないか」と、世界基準の要求を続けるハリルホジッチ前監督と選手の間には認識の差、温度差が、わずかながら常にあったことを示唆した。

 そして「プレーに制限をかけたくない。所属クラブでのプレーを出させたい」、「選手が、ストレートにプレーできる状況を作りたい。パフォーマンスが自クラブ以上に素直に代表でが出る代表でありたい」と、代表選手の本来持っているプレーが出せる代表チーム作りをしたいと明言。その前提として「日本サッカーの強さは連携、連続してやっていくグループとしての強さ。形を取れる選手を選考したい」と、チームとして戦える選手を重要視する考えを示した。【村上幸将】