ハリル氏、制止振り切り93分間語り倒す/詳細

激しい口調で語るハリルホジッチ前監督(撮影・狩俣裕三)

 日本代表前監督のバヒド・ハリルホジッチ氏(65)が93分間、語り倒した。日本協会に初出勤した日からの3年間を自賛し、日本協会の田嶋会長ら幹部には疑問を噴出。最後はチーム愛を述べ、50分間ノンストップの主張と質問4つだけで1時間半を消化した。文字数にして1万字を超える放談だった。

 ハリルホジッチ氏の主張(2度にわたる司会の制止も通じず…約51分間)

 コンニチハ。日本には、物見遊山ではなく何かをもたらせるから来た。こんな形で去るとは…。人生で一番つらい。考えつく限りの悪夢だ。45年間、世界でハイレベルに仕事をしてきた私へのリスペクトがない。

 3年間、毎日毎日ミーティングし、視察し、選手50人+GKの報告書を書き、故障者のデータを集め、事務方とコミュニケーションを取ってきた。合宿、遠征も完璧だったし、50人のスタッフも、こんなに規律正しくやってくれる国は見たことなかった。選手にもビッグなブラボー、ビッグなメルシーを申し上げたい。

 問題はなかった。特に選手とは。3年間で何度、海外組と電話したか。歴史的なオーストラリア戦の(ワールドカップ最終予選)初勝利と突破の後、出られなくてガッカリしている選手が2人いて悲しかったが、あの試合では、若手を起用した時の皆さん(報道陣)の驚き、パニックぶりは、覚えている。

 11月と3月の欧州遠征(1分け3敗)はワールドカップに向けた調整。結果は頭になかった。それでもブラジルから2点(1点はオフサイドで無効)も取ったんだ。ベルギー戦もほぼ完璧だった。

 4月7日に田嶋会長からパリへ呼び出され、何も分からず行くと「お別れだ」と。えっ、ジョークだろ。理由はコミュニケーション不足。怒りがわき立った。5分で部屋を出た。動転したが、すぐ視察中のコーチに電話し「もう家に帰りな」と。(1-4で惨敗した12月の)韓国戦でも解任を考えていたと聞いたが、それなら少しは理解できる。日本ではワールドカップより日韓戦の方が重要と分かっていた。

 ハリルホジッチ氏と一問一答(4問で…42分間)

 -23人を選考する過程で問題が起きたのか

 最後の遠征で信頼が弱まった、らしい。スタッフとは何度も全員でディナーに行った。外国人も日本人もない。僕のおごり。タダ飯だと、すごく食べるんだ。ワールドカップ出場を決めた時は1人1人に贈り物もした。見た目ほど憎らしいやつではないと思ってくれたはずだ。

 -(フリー記者というサポーターから)皆、解任は悪夢だと思っています

 アリガトウゴザイマス。ワールドカップブラジル大会でかなり良い監督だった私の得意分野の「最後の詰め」をさせてもらえず傷ついたが、私と同じく傷ついている方がいてうれしい。ぜひ一緒に東京の街を練り歩きたい。

 -「探す」と言っていた真実は見つかったのか

 残念ながら見つかっていない。何人かの選手が不満を漏らし、会長とやりとりしていたと聞いた。それなら外国人コーチ3人の話も聞いてほしかった。個人的には(震災後に交流した)熊本県に感謝したい。今度は観光客として訪れたい。

 -コミュニケーション不足で解任された経験は

 ない。初めてだ。2月に長谷部と(川島)永嗣、吉田、長友と会った。その時に取れていたコミュニケーションが、なぜ1カ月後に薄れるのか。「ウクライナに負けたから(解任)」と言われた方が理解できる。会長は「技術委員会が修復しようとした」とも説明していたが、存在すら知らないし、話したこともない。