代表に森保新監督浮上 五輪兼任ならトルシエ氏以来

日本代表合宿で森保コーチ(右)は香川(手前左)と本田(後方左)らのパス回しに笑顔を見せる(撮影・山崎安昭)

 日本サッカー協会が、ワールドカップ(W杯)・ロシア大会後の日本代表監督候補として、同コーチで20年東京オリンピック(五輪)代表のU-21(21歳以下)日本代表の森保一監督(49)の兼任プランを検討していることが21日、分かった。実現すれば00年シドニー五輪と02年W杯日韓大会で結果を残したフィリップ・トルシエ氏(63)以来の兼任監督となる。今後、W杯での結果も踏まえ、兼任が可能かどうかなど監督を推挙する技術委員会などで、多角的に可能性を探る。

 日本協会がW杯ロシア大会後の森保兼任監督プランを検討する。この日、W杯に向け東京近郊で始動した西野ジャパンにコーチとして入閣。西野朗監督(63)らと初仕事に当たった。最前線で初のW杯を戦い、西野監督の傍らで帝王学を学んだ上でA代表も任せるプランだ。

 実現すれば20年東京五輪と22年W杯カタール大会に向け、同じ指針、基準で一気に強化と底上げを任せられる。A代表との兼任プランは、実は少し前からあった。3月のベルギー遠征後、田嶋会長がハリルホジッチ前監督を解任した際も、内部で極秘裏に検討。この時は時期尚早との判断で見送られ、西野監督、森保コーチになった経緯がある。

 下地はある。監督を推挙する日本協会の技術委員会では4月の会合で、次期監督も日本人でという声が上がっている。W杯約2カ月前に監督交代という緊急事態。これを招いたのは解任理由ともなった「コミュニケーション不足」。日本人監督なら、そのリスクは減る。森保監督は広島を率いJリーグで3度優勝と圧倒的な実績と求心力がある。

 日本代表は世代交代という難しいテーマを抱える。ロシア行きを目指すガーナ戦のメンバーは川島、長友、長谷部、本田、岡崎が選出された。W杯最終メンバーに入れば、3大会連続のW杯となるベテラン組だ。長く彼らに支えられてきた分、新陳代謝は滞る。

 これまで技術委員会は、日本代表監督の条件として(1)W杯での指揮(2)欧州CLなどトップレベルでの指揮、を求めてきた。ただ、田嶋会長はこれも見直すと公言。16日の筑波大での講演でも「技術委員会でまた新たな選考基準を作っていくことになる。今の基準だと日本人は当てはまらない。新たな基準を作らなければいけない」などと話した。

 当然、スクランブル登板した西野監督がロシアでどのような結果を残すかも見極める必要がある。西野監督続投も含め、現時点で幾つかの選択肢がある。近日中に開催予定の技術委員会などで、まず兼任プランが可能かどうかも含め、次の体制についての話し合いがスタートする。

 ◆森保一(もりやす・はじめ)1968年(昭43)8月23日、長崎市生まれ。長崎日大高から87年に広島の前身マツダ入り。守備的MFとして京都、広島でもプレーし、03年に仙台で引退した。J1通算293試合15得点、日本代表でも国際Aマッチ通算35試合1得点。04年に指導者に転身。07年U-20W杯日本代表コーチや広島、新潟のコーチを経て12年に広島監督に就任。12、13年の連覇と15年の計3度リーグ優勝。17年7月に退任し、同10月に東京五輪代表監督に就任。ハリルホジッチ監督の解任に伴い、西野監督のもと4月にA代表コーチにも就任した。家族は夫人と3男。愛称「ポイチ」。174センチ。