南野、縁起良い新監督“1号”「まだまだこれから」

日本対コスタリカ 後半、ゴールを決めた南野は喜ぶ(撮影・江口和貴)

<サッカー国際親善試合:日本3-0コスタリカ>◇11日◇大阪・パナソニックスタジアム吹田

日本代表MF南野拓実(23=ザルツブルク)が森保ジャパンの初ゴールを挙げた。1点リードの後半21分、左足を振り抜き、代表3試合目で待望の初得点を記録。1点目がオウンゴールだっただけに、南野の得点が日本に真の勢いをもたらせた。大阪・泉佐野市出身のリオ・オリンピック(五輪)世代は、約3年ぶりに復帰したA代表で初先発フル出場。オーストリアで成長する新生日本のエース候補が、地元大阪で存在感を示した。

左足の神経をとぎすませた。1点リードの後半21分、南野はゴール前へ走り込んだ。同じリオ五輪代表のMF遠藤からのパス。狙いを定めて左足を振り抜いた。ゴール右に決まるA代表初得点。ガッツポーズで喜びを爆発させた。

「自分のところにボールがくればシュート(に持ち込む)イメージを持っていた。前半からゴールは近いなと思っていた」

15年にA代表に初招集され、アウェーで2試合に途中出場も、その後は約3年間も遠ざかった。「呼ばれていない間は悔しい思いもした」。16年リオ五輪アジア最終予選ではエースとして期待されたが5試合無得点。本大会でも1次リーグ突破に導けなかった。

生まれは大阪・泉佐野市で、下部組織から育ったC大阪が14年にJ2降格が決まった際、エースとして責任を背負い込んだ。どん底を知った当時19歳だが、日本をけん引する選手になるため、あえて15年1月から海を渡り、5季目となるオーストリア1部ザルツブルクで成長を続ける。今季はドイツ語の通訳もつけずに自らを追い込んだ。

かつて俳優岡田将生似のイケメンと呼ばれたが、さらに男らしい表情で今回は凱旋(がいせん)。台風21号の被害にあった地元大阪の友人、家族の前で勇気づけるプレーを見せた。それでも慢心はなかった。

「まだまだ足りないというより、全然満足していない。起点になるか、もっとシュートの本数を増やせると思う。初戦で大事だったのは、結果を残すことかチームが勝つこと。その点は良かったけど、まだまだこれから。(来年1月の)アジア杯までのサバイバルにしっかり勝ち残っていきたい」

試合後は森保監督と固い握手を交わした。踏み出したカタールへの1歩。これまでA代表監督就任後に初ゴールを挙げた選手は、岡田監督時代(97年)に決めた呂比須から9人連続でワールドカップ(W杯)切符を手にしており、南野が先輩たちの系譜を引き継ぐ。23歳のアタッカーが次世代のエース候補に名乗りを上げた。【小杉舞】

◆南野拓実(みなみの・たくみ)1995年(平7)1月16日、大阪府泉佐野市生まれ。セレッソ大阪ユース在籍時の12年11月17日大宮アルディージャ戦でデビュー。13年トップ昇格。14年W杯ブラジル大会では予備登録メンバー。15年1月に強豪ザルツブルクへ移籍し、16年にはリオ五輪出場。国際Aマッチ3試合1得点。174センチ、68キロ。