森保監督「現時点でベスト」前線4枚上々の化学反応

日本対パナマ 試合後、サポーターに一礼する森保監督(撮影・江口和貴) 

<国際親善試合:日本3-0パナマ>◇12日◇デンカS

 日本代表の森保一監督(50)が就任後2連勝を飾った。パナマ戦の前半にMF南野の2試合連続ゴールで先制すると、後半にMF伊東も2戦連発。途中起用のFW川又もオウンゴールを誘い、2試合連続で3-0で勝った。指導の原点になった地、新潟。そこでFW大迫らワールドカップ(W杯)ロシア大会に出場した選手と次世代の有望株を絡め、結果も残した。

森保監督は、いつも冷静沈着だ。前半42分、MF青山の縦パス一閃(いっせん)から南野に先制弾が生まれても、涼しい顔で腕時計に目をやり、メモ帳に3色ペンを走らせた。黒、赤、青を使い分けて指摘ポイントをまとめ「書いた量は9月よりも少なかったかな」と、ほほ笑んだ。会見も穏やかな語り口で「無失点、3得点、そして勝てた。選手がトライし、ハードワークしてくれた結果」とピッチに送った15人を褒めた。

10、11年にヘッドコーチを務めた新潟。代表監督となって舞い戻り、かつての本拠で拍手とコールを浴びた。当時のジャージー姿ではなくスーツを着て指揮。この地には、93年「ドーハの悲劇」でともに泣いた黒崎久志氏(現鹿島コーチ)に請われ、やって来た。生まれ(68年)も引退(03年)も同じ親友。そこで「頑張るクロを支えながら、自分も同じ立場で挑戦したいと思った」。監督業への意欲が沸騰した場所だった。

当時は黒崎氏が攻撃、森保監督が守備を分担。黒崎氏が「球際の厳しさに最もこだわっていた」と振り返れば、森保監督も「現役時代から大事にしてきた『粘り強く戦う』コンセプトを新潟で磨けた」。日の丸を背負う今。対人の強さが売りのボランチ三竿を初先発させ、19歳の冨安をセンターバック史上最年少でデビューさせ、フィジカル自慢のパナマと戦わせた。ピッチでは青の集散が繰り返され「粘り強く、激しく厳しく戦ってくれた。そこにこだわっていた」と納得。初陣から2試合連続の完封勝ちは06年オシム監督以来12年ぶりの記録発進だった。

新潟の後、J1優勝3度の広島で磨いた攻撃では2試合連続の3得点。後半に伊東が追加点を奪い、途中投入した元新潟のFW川又がオウンゴールを誘った。4万人弱が詰めかけたデンカSを采配で沸かせ、指導者としての進境を示した。

前線4枚は、W杯で得点した大迫と原口に、9月の初陣コスタリカ戦でゴールした南野、伊東で構成。「化学反応」を求め「現時点のベストは出してくれた。融合、戦術浸透は進んだ」と評価した。「しかしながら…」。続けた言葉は「監督も戦術も変わった中、もっと攻守の質を上げていかないと。さらに良い内容にしたい」。3点目の直後、指笛で選手を呼び位置取りを修正した時と同様、会見も抜かりなかった。次は中3日でW杯8強のウルグアイを迎え撃つ。【木下淳】