なでしこ高倉監督「輝く選手出てきて」一問一答

メンバー発表会見で笑顔を見せるなでしこジャパンの高倉監督(撮影・横山健太)

日本サッカー協会は23日、11月11日に行われる、なでしこジャパンの国際親善試合ノルウェー戦(鳥取市営サッカー場バードスタジアム)のメンバー28人を発表した。

FW岩渕真奈(25)やDF鮫島彩(31)ら常連組のほか、DF熊谷紗希(28)、MF川澄奈穂美(33)、DF宇津木瑠美(29)ら海外組も順当に選出。高倉麻子監督が招集を示唆していた今年8月のU-20ワールドカップ(W杯)フランス大会の優勝メンバーからは、MF長野風花(19)、南萌華(19)、宮沢ひなた(18)、遠藤純(18)の4人が選ばれた。

高倉監督の冒頭あいさつと一問一答は以下の通り。

高倉監督 今年最後のなでしこの活動となります。チームが立ち上がってから、今年4月に行われたアジア予選をひとつのターゲットとして進めてきましたが、そこで優勝。その後のアジア大会でも選手が非常によく戦って、優勝することができました。チームとしてはその2つの優勝というのは自信になりましたし、ゲーム内容を考えれば、まだまだこのままでは世界で通用しないということを共有できたことも財産になりました。その中で次のW杯まで7カ月になります。今年最後の活動である親善マッチがW杯へ向けての新たなスタートになると思いますし、大きな積み上げの場になることは間違いないと思います。今回28人の招集となりますが、先日のU-20で世界一をとったメンバーの中に即戦力となりうるのではないかと期待を持たせる選手が多くいましたので、その中から4名をピックアップして今回の合宿に参加してもらいます。DFの南は高さもありますし、育成年代からずっと見てますけども、体がフィットしてきながら安定した守備をみせます。高さもありますし、キャプテンを務めたことによってリーダーシップということもメンタル的に上がってきているということで、期待をしています。中盤の長野は視野の広さももちろんですけど、サッカー理解というところでも非常に高いものを持っているので、この選手にもぜひ今いる選手を脅かすような存在になってほしいと思っています。宮沢に関してはスピード、ドリブル突破というところで非凡なものを見せますし、テクニックが高く、ドリブルからシュートに持ち込む武器もありますので、そこを全面に出して戦ってほしいと思います。最後に遠藤に関しては宮沢と同じような役割というか、彼女は左利きですけど、独特なドリブルからシュートに持ち込む形は非常に素晴らしいものを持っているので、そのあたりを期待して選出しました。この先、W杯までは7カ月あまりとなりますけど、選手たちには今までの積み上げと、チームの中での規律の中で、選手個々の持っている特徴というのをどうやってチームに出していけるかということを合宿の中で極めていきながら、代表の座を勝ち取っていけるような存在になってくれたらと思います。選手には2つ3つのポジションをできることを求める選手もいますし、その選手のスペシャリティーとユーティリティー性の2つを求めながらチームをつくっていきたいと思います。

-今回は28人招集と人数が多い。既存のメンバーと競争させたいというイメージか

高倉監督 同じグラウンドの中でともにボールを蹴りながら競争してほしいというのもありますし、国内合宿ですし、今までいた選手はこれまでの評価含め、私が判断しないといけない選手もいますので、単純に同じピッチの中で競争してほしいなということで少し多めに呼びました。

-ノルウェーは古豪だが、試合では何を見ようと思っているか。試合での選手起用について

高倉監督 ノルウェーは古豪でありますし、近年は再び育成に力をいれながら、チーム力は非常に上向きだという印象があります。今はヨーロッパのチームは非常に組織化されているし、ハードに戦ってくるので、相手がどうということはもちろん分析しながら試合はしますけど、自分たちがプレスを外してボールを動かすというところにはこだわって試合をしたいと思いますし、やはり大事にしてきた試合に勝ちきるというゲーム運びのうまさとか、そういったものも継続しながらチームとしての完成度を高めていきたいなと思います。

-背番号10が空いているが

高倉監督 10番はずっと阪口(夢穂)がつけていましたので、彼女はちょっとけがで抜けていますけど、そこは基本的には空けて待っているという状況ということで外しています。

-来年のW杯に向けて積み上げていきたい部分

高倉監督 本来であれば自分たちで強いプレスを受けても後ろからしっかり組み立てをしてそこを抜けた上で、ゴール前のクオリティーを求めていくというところでチームはずっと進んでいますけど、ゲームに入って特にアジアの戦いではもっと早いプレスに手を焼いて、なかなか自陣から抜け出せないという状況が続いてしまったので。またヨーロッパとやるとフィジカル的にアジア選手と違うところもあり、意外と外せるということもあるので、相手によってやりやすさとかあるんですけど、そういうことじゃなくて、より早いポジショニングとか、判断の速さというところで、ボールを自分たちで抜け出していけるということにはこだわりを持って。細かいところの修正にはなると思いますけど、そういうところはまだまだ上げていこうということを話しながらトレーニングを続けていきたいなと思います。

-来年のW杯、再来年の東京オリンピック(五輪)へ向け、日本の方々に女子サッカーの魅力をどう伝えていくか

高倉監督 選手も以前から大幅に変わってきている中で、まず日本のみなさんがなでしこジャパンにはどんな選手がいるんだろうとご存じない方が多いと思う。選手にはチームを勝たせる選手になってほしいということを伝えているが、チームの規律の中で自分が輝くためのプレーを突き詰めて、まずはグラウンドに立つことを目標にしながら、1つでも2つでも見ている皆さまが、この選手誰なんだろうとか、うまいなとか、戦う選手って素晴らしいなとかを印象づけられる個の選手が出てきてほしいなと強く思います。もちろんベースはチームとしてハードワークして戦うことは外せないので、その中でより輝く選手が出てきてほしいということと、勝ちきるチームになっていくことを目標にしながら進んでいきたいと思います。

-監督の現役時代のなでしこリーグには、ノルウェーの選手が多くいた。ノルウェーの変わってきた部分と試合の見どころは

高倉監督 ノルウェーの選手は多くなでしこリーグでプレーしていました。当時、ノルウェーは世界でも1、2を争うぐらい強いチームでしたし、日本の女子サッカーのレベルアップに力を貸してくれたと思います。今もスタッフとして当時の選手がノルウェー代表チームに入っていて、大会などで会った時は親交を深めることもあります。ノルウェーはシンプルにフィジカルの強さを出して、前に蹴って走るスタイルを続けている中で、なかなか勝てないと感じて、テクニックとか戦術的なところを修正しながら再び世界一を目指すところにきていると思う。やはりどこのチームも今はそうですけど、テクニックと組織的な組み立てからというところにチャレンジしているのかなと思っていますし、非常に難しい試合になるなと感じています。

-U-20の4名の選手は、お姉さんに混ざって緊張することもあると思うが、どうやって強度を上げていくとか、そのあたりはどう考えているか

高倉監督 まず、彼女たちはお姉さんがいてもビビることはないと思います(笑い)。若い選手なので緊張する部分はあると思いますが、即戦力として自分自身が試合に出るという気持ちで来てもらわないと意味がないと思いますし、すぐにW杯はきますので、強度を求めることも今までなでしこで求めていたことと同じことを求めていきたいと思います。