レアルの天才少年ピピ中井卓大がU15代表デビュー

天才サッカー少年、ついに日の丸デビュー! スペイン1部の強豪レアル・マドリードの下部組織に所属する「ピピ」ことU-15(15歳以下)日本代表MF中井卓大(たくひろ=15)が10月30日、フランス・パリ郊外で行われたバルドマルヌU-16国際大会初戦のオーストリア戦に前半途中から出場した。先制点の起点となる活躍でチームも2-0の勝利。試合後には、4年後のワールドカップ(W杯)カタール大会出場を目標に掲げた。

次代の日本サッカーを支える存在として期待され続けてきた中井が、ついに日本代表のユニホームを着てピッチに立った。

29日に合流したばかりでベンチスタートだったが、前半34分にMF遠山が負傷し緊急出場を余儀なくされた。「ウオームアップもしていなかったので不安だった」という言葉とは裏腹に、4-4-2のボランチに入ると5分後の同39分、いきなり輝きを放った。

右サイドで足裏を使った切り返しで相手を手玉に取ると鋭くパス。オーストリア協会の公式サイトが「氷のようにクールなパス」と評したパスはFW野沢を経由してFW勝島に通り、その勝島が先制弾を決めた。中盤で守備に追われる場面もあったが「僕はドリブルしながら相手を引き寄せ、パスを出してチームを落ち着かせる選手」と語るように、巧みな足技で攻撃のリズムを作った。

「ピピ」の愛称でサッカーファンに知られる中井は滋賀県大津市出身。「アズー滋賀」でプレーしていた11年に、7歳でテレビ朝日系「やべっちFC」に出演するなど“天才サッカー少年”として知られていた。そして同年、足裏を使い、バックステップを踏みながら相手をかわすなどしたプレー動画が、SNSで拡散され、「日本にもメッシがいた」と、世界中で驚きの声が相次いだ。

翌12年夏にRマドリードの日本キャンプに参加して優秀選手に選ばれると、翌13年9月にRマドリードの育成組織の入団テストを受けて合格し契約。当時、Rマドリードの宿敵バルセロナで12歳のMF久保建英(現J1横浜F・マリノス)がプレーして評判を呼んでいたが、わずか9歳で日本人初のRマドリード入団を勝ち取った。

3月には神奈川県内で行われたキリンレモン杯にカデーテB(15歳以下)の一員で出場した。チームを優勝に導くと、今季はカデーテA(16歳以下)に昇格と、順調にステップアップ。「19歳か20歳までにトップチームに上がりたい」とクラブでの野心を口にした。

176センチ、60キロとまだ線の細さが目立つ。それでも目標は4年後、22年W杯カタール大会だと宣言。「(フランス代表)エムバペは19歳でW杯に出た。4年後は俺も19歳なので、次のW杯に出たい」。15歳の言葉に揺るぎがない。