冨安が吉田麻也“相棒”に急浮上 空中戦◎で存在感

ランニングをする吉田(左)と冨安(中央)(撮影・横山健太)

日本代表に東京オリンピック(五輪)世代から選出されているチーム最年少のDF冨安健洋(20=シントトロイデン)が、DF吉田麻也主将(30=サウサンプトン)の相棒に抜てきされる可能性が浮上した。日本代表は13日、大分市で合宿2日目の練習を行った。19年1月のアジア杯(UAE)に向けた最後の実戦となるベネズエラ戦とキルギス戦の中で、冨安と吉田のコンビがテストされる見込み。世代を超えた「融合」を大きなテーマに掲げる森保一監督(50)のもと、一気に主力の座をつかむチャンスが訪れそうだ。

冨安に絶好のアピールの場が巡ってくる。この日の午後5時から大分市内で行われた練習で、7対7のミニゲームなどで吉田とコンビを組んだ。実戦の場で吉田とともにプレーすれば初めてとなる。5日に成人を迎えたばかりの冨安は「先輩たちからいろいろ学びながらプレーしたい」と、謙虚に話した。

10月12日のキリンチャレンジ杯パナマ戦で、Jリーグ開幕以降ではセンターバックとして史上最年少でA代表デビューを果たした。試合前は「ぼーっとして、経験したことのない感覚になった」とA代表のプレッシャーを感じながらも、ことごとく空中戦に競り勝って無失点に貢献。DF三浦、槙野らポジションを争う先輩たちにひけを取らない姿を見せた。自ら序列を上げたことで、テストの機会をつかみそうだ。

隣に立つ吉田から吸収することは数多い。「球際が強くて五分五分の空中戦も全部マイボールにしている。力強い」と、188センチ、78キロで線の細さを課題に挙げる冨安にとってこの上ない手本だ。吉田からもサイズアップを勧められている。「コーチングも、縦パスを入れるところも…正直全部です」。チームの大黒柱である吉田の存在が、冨安の成長を加速させている。

MF堂安とともに東京五輪世代ながら、A代表への招集が続いている。「基礎技術も高いし、スピード感があって、より早く正確に判断もしないといけない」。より高いものが要求される緊張感の中にあって、クラブと違って練習時間は非常に短い。「(コンビを組む)相手に合わせてというより、自分のプレーを」。今は自らの最善を尽くすことに集中することが、チームの勝利と自身のステップアップに直結する。そう信じ、がむしゃらに走る。【岡崎悠利】

◆冨安健洋(とみやす・たけひろ)1998年(平10)11月5日生まれ、福岡県出身。中学からJ2福岡の下部組織に入団。高2の15年5月に2種登録され、同年10月の天皇杯3回戦町田戦で公式戦デビュー。16年にトップチームに昇格し、17年のJ2第4節熊本戦でプロ初ゴールを記録。各世代別代表にも選出され、昨年5月のU-20W杯韓国大会にも出場。今年1月からシントトロイデンに移籍した。188センチ、78キロ。