山中「出来過ぎ」天性左足で初招集初先発109秒弾

日本対キルギス 前半、ゴールを決めた山中(中央)は杉本(右端)らと喜び合う(撮影・横山健太)

<国際親善試合:日本4-0キルギス>◇20日◇豊田ス

自慢の左足がさく裂した。日本代表DF山中亮輔(25=横浜F・マリノス)がA代表初出場初先発したキルギス戦でデビュー戦最速ゴールとなる開始1分49秒で先制点を決めた。同じ左サイドバック(SB)のレギュラーを務めるDF長友が不在の中、アジア杯(来年1月5日開幕、UAE)代表入りをアピールした。16日のベネズエラ戦から先発を総入れ替えし、年内最後の試合を4-0で快勝。森保監督就任後は4勝1分け負けなしで終えた。

代表でのファーストシュートだった。FW杉本からのパス。ペナルティーエリアに走り込んでいたのは左SBの山中だった。タイミングを合わせて左足を一閃(いっせん)。低く強烈な弾道はワンバウンドで右ポストをたたいた後、ゴールネットを揺らした。

前半1分49秒。電光石火の一撃だった。代表初出場初先発で初シュートが初ゴール。15年8月の北朝鮮戦でMF武藤雄樹が記録した「前半3分」を1分も上回る、最速デビュー弾になった。「出来過ぎかなと思います。最初のチャンスで思い切って振り抜いたのがよかった。ふかさないことは意識して、それ以外は体が勝手に動いた。ああいうシュートは得意としている。自分のストロングポイントが出せた」。右拳を突き上げてジャンプ。すぐにもみくちゃにされた。

強烈かつ正確な左足は、幼少期に身につけた天性の技術だ。今季リーグ戦で、流れの中でのペナルティーエリア外からの得点数は単独トップの4得点。力強く足を振り切ると無回転に近い独特の軌道で飛ぶ。ただ、コツについては山中自身も首をひねり「昔からずっとこれでやってきた。枠を外さないことだけかな」。

小学4年だった山中を地元クラブから柏ジュニアへ勧誘した当時の監督、村井一俊さん(47=現札幌下部組織コーチ)は「昔からフォームも立ち姿も何も変わっていないし、強いシュートはその時から蹴れていた」。所属する横浜でのデータ測定でもシュート時の膝下の振りの速さは、ほかの選手と大差がないという。だからこそ正確にボールを捉える技術が余計に際立つ。

現在、約10年間も代表で左SBを務めるDF長友が肺気胸の影響で離脱している。今夏にはその長友も戦うトルコ1部バシャクシェヒルから正式オファーも受けた。それでも「ミスもあったし、まだまだ全然(力が)足りない。地に足を着けて、またJリーグで結果を残せるように頑張っていきたい」。1歩ずつその場所へ。山中の挑戦が始まった。【松尾幸之介】

◆山中亮輔(やまなか・りょうすけ)1993年(平5)4月20日生まれ、柏市出身。小学3年で地元の柏エフォートFCに入り、小学4年の途中から柏レイソルの下部組織に加入。12年にトップチーム昇格。J2ジェフユナイテッド千葉への期限付き移籍を経て17年に横浜へ移籍。171センチ、65キロ。

▼国際Aマッチ初出場初得点 DF山中が前半2分に達成。日本代表史上31人目で、DFでは初。先発でデビュー戦ゴールは21人目だが、デビューからわずか2分での初得点は、武藤雄樹(浦和レッズ)が15年8月2日の東アジア杯北朝鮮戦で記録した3分を更新するデビュー最速ゴールとなった。デビュー戦ゴールを途中出場で記録したのは過去10人。74年2月12日のシンガポール戦で達成した高林敏夫(中大)は、後半22分に初得点を記録したが、途中出場した時間が不明で、デビューから何分で得点したかの記録は残っていない。