森保監督アジア制覇へ伸びしろジャパンで強化と結果

メンバー選考の過程を説明する日本代表の森保監督(撮影・横山健太)

無限の可能性を秘めた“次世代ジャパン”でアジアの頂点を目指す。日本サッカー協会は12日、東京・JFAハウスで来年1月5日開幕のアジア杯(UAE)日本代表23人を発表した。初招集はゼロながら、直前のワールドカップ(W杯)経験者は準々決勝で敗退した前回大会時の14人を下回る9人。国際Aマッチ出場試合数合計も同902試合の約半分の488と、MF堂安、南野、中島ら代表経験の浅い若手中心の編成となった。森保一監督(50)は「強化」と「結果」を両立させ、就任後初の公式戦で初タイトルを誓った。

多数の報道陣の熱視線から視線を外すことなく、森保監督が決意を示した。質疑応答の前のあいさつで、「優勝」の2文字を繰り返した。「前回優勝できなかったものを今回で優勝を奪還して、また日本に優勝のタイトルを持ち帰るのを目標に戦いたい」。就任後初となる公式戦を前に、2大会ぶりの奪還を宣言した。

20年東京オリンピック(五輪)の代表監督も兼ねる指揮官の覚悟が伝わる、未来志向のメンバーが名を連ねた。15年の前回大会時は直前のW杯ブラジル大会経験者は14人。Aマッチ出場の総試合数も902と経験豊富な猛者が並んだ。

今大会の精鋭23人には、香川や乾らW杯ロシア大会で輝きを放った面々の名はなかった。同大会経験者は復帰のDF長友ら9人のみ。国際Aマッチの総出場数も前回の約半分の488試合でMF堂安、南野、中島ら同出場数が1ケタの若手が13人も。「経験ある選手に力を借りたい気持ちも持っていたが、今度は自分たちで新しい日本代表を築いていくんだという気持ちを持って、タイトルに向かって戦ってほしいということで選考した」と説明した。

若手が秘める無限の可能性を引き伸ばすことが、優勝への道筋となる。7月の就任後の国際親善試合では、若手と経験者を融合しながら若手の才能の芽を育んだ。今回の戦いの場は、中東のUAE。「優勝するためには7試合戦わないといけない。7試合あるので、チームは成長しないといけない。1試合1試合、勝利を目指して戦うこと。そのなかで成長しながら、最後タイトルにたどりつけるように」。国際Aマッチの総出場数が395試合の若手中心で優勝した11年ザックジャパンのように、アウェーでの厳しい戦いで得られる経験を積んだ若手が大きな成長曲線を描いた先に、アジアの頂点を見いだした。

先月末には自ら欧州に視察の足を延ばした。故障者らのコンディションを見定めての選考に「非常に悩んだし苦労して決めました」と苦笑いしつつ「経験の浅い選手たちがアジア杯を戦い、タイトルを取れるということは、今後の日本代表にとって自信になる」と結んだ。「成長」と「優勝」。森保ジャパンの若武者たちとともに、2つの大願を成就する。【浜本卓也】

◆過去2大会とのメンバー比較 直前の18年W杯ロシア大会のメンバーは9人。アジア杯がW杯翌年の1月に開催された11、15年の過去2大会(最初のメンバー発表時)と比較して最も少なかった。優勝した11年大会も、直前の10年W杯南アフリカ大会のメンバーから大幅に若返り、DF闘莉王、中沢に代わって当時22歳のDF吉田が台頭。10年W杯メンバーを外れた当時21歳の香川もケガで決勝戦は欠場したものの、準決勝まで5試合連続で先発し2ゴールを挙げた。